半導体用語集

近接転写

英語表記: proximity printing

ウェハ直上に1: 1の等倍転写マスクを置き、電子ビームやイオンビームを照射してマスクパターンをレジストに一括転写する方法を近接転写という。この方法では光ステッパと同等のスループットで微細パターンの高速転写が期待できる。マスクの大きさは1チメ ップ相当の大きさであり、1チップ描画の度にステージをステップアンドリピート移動させ露光を繰り返す。マスクとしては、孔開きマスクや厚さ 1~数μmのSiNやSicを用いた薄膜保持マスクなどが用いられる。孔開きマスクを使用する場合、島状パターンに対しては相補型マスクが2枚必要になる。マスクで散乱された電子が試料面上でビームボケを生じるため、極徴細パターンを形成するためには、マスクと試料との隙間は数100 μm程度にし、近接転写を行う必要がある。ビーム源から出た荷電ビームは、ビーム形成用のアパーチャを通って、約1 mm径に形成され、フォーカスレンズで平行ビームになる。このビームを走査コイルでマスク上を走査する。マスクとウェハの合わせはマスク直上の微調整コイルによりなされる。近接転写では複雑な光学系が不要である反面、マスク面内でのパターン位置精度および寸法精度により、露光裕度が決定されてしまう。このため、高精度な等倍転写マスクの作製が技術的な課題となっているが、マスクの精度が悪くても、それが計測できれば、微調整コイルで走査に同期して補正が可能である。この方法により,電子の加速電圧を10 kVとして、0.5μmのパターンが転写できたとの報告がある。また、イオンビームの場合には、マスクの照射損傷防止に工夫を要する。現実には、マスク作成に手間を要する点やマスク精度が技術的な課題となって、ビーム走査型が主流である。


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