半導体用語集
酸化亜鉛
英語表記:ZnO
結晶構造:ウルツ鉱構造。格子定数:a=0.32407nm,c=0.51955nm。バンド構造:直接遷移型。エネルギーギャップ:3.4376(1.6K),3.37eV(RT)。価電子帯はスピン軌道分裂と結晶場分裂により三つのバンドに分裂しており,低温ではそれぞれに対応するA(3.3773eV),B(3.3830eV),C(3.4198eV)励起子ピークが観測される。有効質量:伝導帯mc*/m₀=0.28(0.37),重正孔帯mhh*/m₀=0.59(1.8)。励起子束縛エネルギー:66.8meV(A),62.5meV(B),61.0meV(C)。励起子分子エネルギー:15(20.9)meV。フォノンエネルギー:LO=70.7,71.3meV(//c),72.0,73.0meV(⊥c),TO=47.1meV(//c),51.2meV(⊥c)。弾性定数(×10¹¹dyne/cm²):c₁₁=20.7,c₁₂=11.77,c₄₄=4.25。熱伝導率:0.4W/cm・K。熱膨張係数:4.0,2.1×10⁻⁶/K(RT)。融点:1,975℃。</p><p> 透明導電膜として長い間ITO(In-Sn酸化膜)が用いられているが,ZnO系透明導電膜も低温成長が可能であり,かつその導電率も~1×10⁻⁴Ω・cm程度とITOに匹敵する特性がえらつつある。導電性は格子間ZnあるいはO空孔による活性化エネルギー40~50meVの浅いドナーによると考えられる。ITOにくらべるとより高温でも安定であり,原材科が安価で資源的にも豊富なことから,将来の大量消費時代における透明導電膜として期待される。このような導電性ZnOは,低しきい値電圧(~2.2V)の蛍光体ともなり,ピーク波長505nmの発光スペクトルを示す。ウルツ鉱構造のZnOは圧電膜として機能し,弾性表面波(SAW)の励振,これを用いたSAW-Filterとしてテレビの映像・音声周波数用フィルタに実用化されている。一方,サファイア基板上に成長されたウルツ鉱構造ZnOもその特性向上が最近めざましく,光励起ではあるが室温で低しきい値レーザ動作している。ZnOはⅡ-Ⅵ族半導体の中でも特に励起子束縛エネルギーが~60meVと大きく,室温レーザ動作にも励起子が関与しており,物性的な興味も深まっている。
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