半導体用語集

酸窒化膜の電気的信頼性

英語表記:electrical reliability of oxinitride

 酸化膜中に窒素(N)を導入するという手法は、純窒化膜も含めて、過去にずいぶん研究されている。SiN膜の誘電率がSiO₂の2倍程度あるので、高誘電率ゲート絶縁膜としての可能性も考えられた。しかし界面特性は悪くLSIの利用には使われてこなか った。一方、最近研究が進んでいる酸窒化膜(オキシナイトライド膜)とよばれる膜では、Nの濃度は低く誘電率は熱酸化膜とほぼ同じである。この場合の膜のメリットは、電気的信頼性 と不純物の拡散ストッパである。電気的信頼性がなぜ改善するのかに関しては、現象論的な議論は多いが、微視的になぜということはいまだに明らかでない。Si-N結合とSi-O結合の違いが原点にあるはずであり、通常の熱酸化膜中に内在されている構造歪を局所的にNと結合を作ることで開放したり、弱い結合を補強している結果、信頼性が上がっていると定性的には議論される場合が多い。特にストレス誘起リーク電流(SILC)を減少させるのに効くことがトンネル酸化膜への応用 としてはインパクトが大きく期待されている。Qʙᴅに関しては、ゲートに正電圧を加えた時には大きく改善されるが、ゲート電極を負側にした時にはあまり改善がみられないことが同一のサンプルで報告されている。FETのチャネルモビリティヘの影響が観測されており、特にnMOSFETにおいてピークモビリティはSiO₂の場合にくらべて少し落ちるが、高電界側でのモビリティが改善されることが報告されている。pMOSFETに関してはピークも高電界モビリティも若干落ちることが報告されているが、その機構に関しては諸説あり、いまだに明確になっていない。反転層モビリティの決定機構を探るうえでも興味ある結果である。また、この膜を考える時には、出発点においてSi-O-Nの三元系を基本的に考えなくてはならないことと、信頼性上は水素の影響を常に考慮することが必要である。膜の性質がオキシナイトライドの製造方法にも大きく依存しており、SIMSで評価したNのプロファイルだけでは電気的信頼性の詳細が議論できないことに注意する必要がある。

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