半導体用語集
金属CVD
英語表記:metal CVD
ウェハプロセスにおいて、金属CVDはコンタクト孔やビア孔への金属埋め込みに利用される。金属CVDが利用される最も大きな理由は、通常のスパッタ法に比較して格段に優れた埋め込み特性にある。CVD法により微細孔を金属で埋め込む方法として、ブランケットCVD法と選択CVD法がある(図1)。ブランケットとは毛布の意味であり、文字どおり微細孔に対して、底部も側壁部分も理想的には同じ膜厚で堆積させようという方法である。選択CVDは、微細孔底部から埋め込んでいく方法である(詳細は「ブランケットCVD」並びに「選択CVD」の項を参照)。
微細コンタクト孔やビア孔は、図1のように単純に低抵抗な金属で埋め込むだけではなく、現実のウェハプロセスでは、図2のように、バリア層を介した後低抵抗金属を埋め込む構造が取られている。この理由は底面が特に半導体の場合、埋め込む金属と半導体が熱処理時に反応を起こし、半導体層に形成されたpn接合を破壊してしまうことを避けるためである。この理由だけでは、底部のみにバリア層を設ければよいことになるが、底部のみにバリア層を設けることは現実には達成できず、図2に示すように微細孔の底部、側部、上面すべてにバリア層を設けている。0.25μmレベルのLSIにおいては、このように微細孔の底部、側壁、上面にバリア層が存在した構造は 好ましい方向に作用した。これは、低抵抗金属と絶縁膜の密着性を向上させたこと、さらに上面に関しては、Al系金属で配線を作る場合、一般に抵抗は高いが高融点材料であったTiNバリア層の存在が、Al系配線のエレクトロマイグレーション耐性を実効的に向上させたためである。
さて、現在量産されているLSIにおいて金属をCVD法で形成しているのは、コンタクト孔やビア孔を埋め込むタングステンW-CVDである。Wを堆積させるために利用可能な原料としては、WF₆、W(CO)₆、WCl₆などがあるが、多くの場合WF₆が利用されている。これは、WF₆が気体であり、簡便に輸送できることにある。W(CO)₆は固体であるために、昇華させて気体にしなければならない、あるいは堆積膜に炭素や酸素などの不純物が混入する、高純度原料がえられないといった欠点があり、研究レベルでは検討されたが、ウェハプロセスには利用されていない。WF₆だけを利用したCVD法では、Si基板のSiと還元反応を起こし、Wが堆積可能である。SiO₂表面では還元しないので、W薄膜は堆積しない。このような表面の違いによる選択性が注目されたが、現在のLSIプロセスにおいては多くの場合、WF₆+H₂系、WF₆+SiH₄系によるブランケット堆積が利用されている。
WF₆+H₂系、WF₆+SiH₄系ともに数Torr程度の減圧下、300~400℃程度の熱CVD法である。どちらの反応系でも、原料ガス組成、基板温度を選ぶことによって、Si表面上には堆積し、酸化膜上には堆積しないという選択堆積が可能であるが、現在広く利用されているのは、ブランケット堆積である。これは、選択堆積ではどうしても選択崩れによる問題を量産工場レベルでなかなか解決しにくいことによるといわれている。コンタクト孔やビア孔をWで埋め込む時、多くの場合ステップカバレッジの優れたWF₆+SiH₄系でwetting layerを堆積し、次いでWF₆+H₂系の高速堆積モードで埋め込む手法が取られている。CVD法により堆積したW膜の抵抗率は10μΩ·cm以上あり、純粋なWのバルク抵抗率の2倍以上大きい。実際のウェハプロセスに利用されてはいるが、改善の余地が残されている。
Wの他、Al、Cu、TiN、Ti、Ta、TaNなどの金属CVDも可能である。これら金属CVD原料に関しては、これら金属の水素化物が安定に存在しないため、多くの場合有機金属原料が利用されている。なお、化学の分野では、「金属原子と炭素原子のδ結合を持つ材料」を有機金属と定義されているが、近年半導体プロセスにおいて、特に金属CVDで検討されている材料ではこの定義を満たさない原料であっても、アルキル基やベンゼン環など有機基を含む材料を「有機金属原料」と称している。
Al-CVDには原料として、有機金属が利用される。ウェハプロセスヘの導入が検討されている段階にある。LSIプロセスヘの応用を目的としたAl-CVD原料に利用される有機金属としては、TMA [(CH₃)₃Al]、TIBA [(i - C₄H₉)₃Al]、DMAH [(CH₃)₂AIH]、DMEAA [AIH₃ : N(CH₃)₂(C₂H₅)]などの有機金属原料が利用されている。これら有機金属は室温で液体であるため、水素ガスでバブリングにより、水素ガスとともに反応容器へ輸送する方法、あるいは液体輸送して、気化器と呼ばれる部分で気化した後反応容器へ輸送する方法が利用されている。上述のいくつかの原料が検討されているが、近年注目されているのはDMAHである。Al-CVDに関しては研究レベルから実際のウェハプロセスヘの適用が検討されている段階にある。堆積圧力は1~数 Torr、基板温度は150~300℃程度である。コンタクト孔の穴径はLSIの最小線幅にほぼ等しい。ところがコンタクト孔の絶縁膜厚さは絶縁耐圧確保、浮遊容量増加の抑制のために微細化されない。したがって、微細化とともにコンタクト孔のアスペクト比(=深さ÷孔径)は大きくなる一方で、アスペクト比は勢い5以上、場合によっては10以上となるといわれている。このような微細孔を埋め込むのに、図2のように、従来どおりバリア層、低抵抗金属層からなる埋め込みを利用しようとしても、従来は無視しえたバリア層の厚さが無視できなくなってしまう。饅頭のあんこと皮の関係と同じであることから、近年このことをManjuu effectと呼ばれることがある。したがって、低抵抗金属だけで、コンタクト孔を埋め込む技術が、サブ0.1µm世代には必須であり、この目的のためには、バルク抵抗を実現できないW-CVDにはさらなる改善が要求され、一方ではAl-CVDによる埋め込みを検討する必要が生じている。低抵抗金属として次に述べるCuで埋め込む方法も考えられるが、Cuは絶縁物に拡散し、その結果MOSFETのしきい値電圧変動を起こすなどの問題をかかえている。
Cu-CVDには原料として、種々の材料が検討されたが多くの場合、hfac(Cu)tmvs系の材料が検討されている。1~数Torrで基板温度150~300℃程度で堆積される。微細孔へのCu埋め込みに関しては、近年めっき法による埋め込み技術が開発されており、微細孔をCVD-Cuで埋め込むのかめっきで埋め込むのかが大きな問題となっている。CVD-Cuは埋め込み特性には優れる特徴があるが、どうしても結晶粒界が小さくエレクトロマイグレーション耐性を確保できないのではないかという課題が残っている。しかし、Cuめっきの場合、めっきするためにはどうしても低抵抗なwetting層を必要としており、微細孔に埋め込む際のwetting層にCu-CVDを利用するという方法が検討されている。
図2に示すバリア層は現在のLSIプロセスでは、多くの場合、TiN系の材料が利用されている。バリア層は500Å以下と薄くてよいので、ステップカバレッジを改善したスパッタ法(ロングスロースパッタ法、コリメータスパッタ法)で何とか堆積させているが、カバレッジ確保のために、CVD法による堆積が検討されている。TiN CVDは、TICl₄+NH₃系が一般に利用されている。この系の問題は塩素を含むことであり、堆積膜に塩素を含むとその後堆積する膜がAl系薄膜である時、塩素によるコロージョンが発生することである。そのため塩素を低減させるためと堆積膜の抵抗を低減させるために、400~500℃の高温堆積になってしまう欠点がある。Cl含有を低減させるために、TDMAT、TDEATなどの有機原料を利用することが検討されているが、堆積膜の抵抗率が1,000~10,000 µΩ·cmと、TICl₄を利用した場合の数百µΩ·cmよりさらに大きいという問題がある。これらの問題を解決することが重要課題である。
関連製品
「金属CVD」に関連する製品が存在しません。キーワード検索
フリーワードやカテゴリーを指定して検索できます
関連用語
関連特集
「金属CVD」に関連する特集が存在しません。
会員登録すると会員限定の特集コンテンツにもアクセスできます。




