半導体用語集

電子ピームリソグラフィ

英語表記:electron beam lithography

電子源から放出される電子を感光材 (レジスト)に照射してパターンを形成する技術を総称して電子ビームリソグラフィと呼ぶ。
電子ビームは数nmまでの収束が可能で、パターン発生が容易なことから、1960年代の終りからX線露光技術とともに将来のリソグラフィ技術と して検討が始まった。まず解像性とスループットを兼ね備えた、光電子マス クを使った全面転写技術やステンシルマスクを使った電子ビーム縮小転写技術が盛んに研究された。しかし、いずれも転写領域全面にわたって歪なく均ーな微細バターンを形成することが難しいことがわかってきたため1980年代には衰退した。1970年代始めには、現在の電子ビーム描画装置の原型ともいえるガウシアンビームの電子ビーム描画装置の開発もAT&TのBell研究所で始まった。タングステン電子銃によるガウシアンビームを電子レンズで試料面に結像し、ステージを連続移動させながらそれと直交方向にピームをラスタ走査させ, ビームをon・ofすることでパターン発生する装置である。 このスポットビーム/ラスタ走査/ステージ連続移動のマスク描画装置は、現在でもマスク作成における主力リソグラフィ装置である。 しかしながら、この方法はマスクパターンの微細化に対応してビーム寸法を小さくしていくと、描画速度の低下が無視できなくなる。これを打開するために、1970 年後半から可変成形ビーム/ベクタ走査/ステージ連続移動の描画方式を採用した装置がIBM、日立、東芝、富士通などで開発され始めた。この装置はガウシアンビームタイプの装置にくらべてスルーブットが高く、マスク製作だけでなく、デバイス試作、少量多品種のASIC開発など、直接描画領域での電子ビームリソグラフィ装置としても認められている。しかしながら、デバイス集積度が上がり、ウェハが大口径化するに連れて、可変成形ビーム/べクタ走査/ステージ連続移動の描画方式を採用した装置でも一筆書きに近い描画のため、スループットの限界が明らかになってきた。1990年台に入って、描画パターンにおいて繰り返し使われるパターンをキャラクタ(セルあるいはブロックとも呼ぶ)として抽出し、これを可変成形用のステンシルマスク(アパーチャ)内に合わせて作り込み、可変成形ビームとキャラクタビームとを使って描画する装置が富士通と日立から提案された。セルプロジェクションまたはブロック露光と呼ばれるこの装置は、メモリパターンのホール層、電極層など繰り返し性の高いパターンに対して高いスループットを実現することができる。しかしながら、このような装置でも、ロジックデバイスの繰り返し性の少ないランダムパターンに対してのスルーブットは光ステッパの1/10以下と低く、まだまだ光リソグラフィに置き換わる実力を持った電子ビームリソグラフィ装置にはなりえていない。一方で、これらの状況を打破するために、スループットの飛躍的な向上を目指すシステムも1980年代終りから多くの提案がなされている。 IBMのマイクロカラム、富士通のブランキングアレーなどに代表されるビームを多数本用いたマルチビームや、AT&TのSCALPEL、IBMのPREVAILなどに代表される拡大マスクとウェハを同期させて移動させながらバターン転写を行うEBステッパである。いずれも8インチウェハで30枚/hのスループットを達成しようとしており、今後の進展に期侍が持たれる。これらの装置開発ととも、1980年代始めからの約20年で電子ビームリソグラフィに関わる要素技術も大いに進展した。偏向収差計算と電子レンズと偏向システム技術、電子銃構造、材科開発、近接効果補正技術、データ処理の並列処理技術、レジスト帯電防止技術や高感度レジスト開発、in-situクリニングによるコラム内のチャージアップ防止技術などはその代表例である。


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