半導体用語集

電界イオン顕微鏡法

英語表記:field ion microscopy

 電界イオン顕微鏡では針状に加工した先端の尖った試料を,He,Neなどの希ガス(10⁻²~10⁻⁴Pa)を含む鏡体に設置し,正の高電界を印加する。希ガス分子は試料先端と衝突を行い,その外殻電子を試料に渡し陽イオンとなり再放出される。この陽イオンを陰極側蛍光面に拡大投射することにより顕微鏡像がえられる。拡大倍率は針状試料先端の曲率半径(r)と,試料表面から蛍光面までの距離(R)の比(R/r)でほぼ決まり,容易に10⁶倍に達する。この顕微鏡は,E.W.Mullerによって1952年に考案され,1956年にはタングステンの原子像が直接観察された。
 針状試料表面を細かく見ると原子のオーダで突起があり,突起部分における電場強度は平均的な電場強度より若干高い。希ガス分子がイオン化される割合は電場強度に大きく依存するために,この少しの電場強度を反映し希ガスイオンは蛍光面にコントラストを作る。すなわち,試料表面の局所的な電場強度の拡大像が作られることとなる。突起の最小間隔はほぼ原子の大きさであるから,電界放射型電子顕微鏡よりはるかに高い分解能(~0.2nm程度)がえられる。
 陰極側蛍光面に微細な孔を作り,その背後に飛行時間型質量分析器を結合した装置が,原子プローブ電界イオン顕微鏡である。針状試料にパルス電圧を加え表面原子を蒸発させ,その飛行時間を測定することにより原子の識別ができる。電界イオン顕微鏡で観察した表面の任意領域のみを限定しプローブすることができる。極微小領域の組成分析法として有用である。


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