半導体用語集
非晶質カルコゲナイド
英語表記:amorphous chalcogenide thin films
非晶質半導体には,水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)に代表されるようなテトラへドラル系と,アモルファス三セレン化二ヒ素(a-As₂Se₃)などのようなカルコゲナイド系とがある。非晶質カルコゲナイドは,主成分であるカルコゲン元素(S,Se,Te)と準成分であるプニコゲン元素(As,Sbなど)とを含み,前者は二配位,後者は三配位となって共有結合的な二次元ネットワーク構造を作る。ネットワーク同士はファン・デル・ワールスカで結合しているので,すべてが共有結合からなるテトラへドラル系アモルファス半導体にくらべ構造的に柔軟性がある。カルコゲン化合物ガラス(chalcogenide glass)ということもある。
電子構造について述べると,テトラへドラル系では,価電子帯の項が結合軌道,伝導帯の底が反結合軌道から構成されているのに対し,カルコゲナイド系では価電子帯の項が非結合軌道,伝導帯の底は反結合軌道から構成される。テトラへドラル系にくらべギャップ内準位の状態密度が大きい。また,ギャップ内状態密度はバンドテールで高くなっている。
Te-As-Ge-Si系の非晶質半導体においては,電流の加熱によるon・off転移と呼ばれる非晶質・結晶相変化に伴う導電率変化が起き,これを用いたスイッチ素子,メモリ素子が発表されている。As-S系では光照射による着色作用(光ストッピング)がみられ,この現象を利用した光スイッチが提案されている。Te-Ge-Sn-Au系,Sn-Te-Se系では,光照射に伴って非晶質・結晶質相転移が起きるので,この現象を利用するCD-RW,DVD-RAMなど光相変化ディスクが発売されている。一方,a-Se,As-Se,As-Se-Te系などは大きな光伝導性を示すので,電子写真の感光ドラム,高感度撮像管(サチコン,ハープなど)などに利用されている。非品質カルコゲナイドは,真空蒸着,または液体急冷で作製される。
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