半導体用語集
DRAM価格変動
英語表記:DRAM price change
DRAMの価格は様々な要因で決定されると考えられるが、主には長期のトレンドラインとして、テクノロジ一の進歩によるチップシュリンクや、世代交代によるビット単価の下落があり、短期的には需要と供給の関係が考えられる。
10年以上の長期トレンドをみると、ビットコストの低下は、年率30%弱で推移している。このコストダウンを支えるのが、微細加工技術である。 DRAMの場合は3年ごとに容量4倍化が実現されてきており、今後も当面はこのトレンドが続くと予想される。これを実現するために、世代ごとに最小加工線幅を縮小し、メモリセルの面積を縮小してきた。完全にメモリセル面積を1/4にできなかったため、チップ面積は世代ごとに1.5倍近く増加してきたが、その分、ウェハの大口径化により、これまでのコストダウントレンドを維持してきた。また、同じ世代の中でも立ち上げ期は歩留りも低くコストが高いが、ラーニングカーブとともにコストが低減してくるため、前世代のものと、ビット単価が同じになるタイミングがある。これをビットクロスと呼び、ビットクロスが起きれば、世代交代が加速することになる。新世代のものは4倍の容量を持つため、同じだけのメモリ搭載容量が必要であれば、チップ数は1/4になる。省スペースが重要なノート型PCなどでは必ずしもビットクロスが起きる手前から世代交代は起きる。
半導体メーカーにとって重要なのは利益を最大にあげることであり、DRAMでは各世代の短期的な価格が非常に重要になってくる。需給が逼迫すれば、価格は高値で安定し、ビットコストが低下した分は、すべて利益として計上されることになる。逆に、需給が緩んでくれば価格は大幅に下落し、限界利益が出なくなるまで損失は拡大する。このような需給の逼迫感をみる指標として、大口価格とスポット価格の関係が参考になる。スポット価格は非常に限られた市場であるため、全体の市場動向が誇張された形で反映されることが多い。したがって、スポット価格が大口価格よりも高ければ逼迫を意味し、逆は緩和を意味する。
DRAMの価格は品種ごとにおおむね同じであるが、短期的には品種ごとに大きく異なることもある。これは、DRAMの製造には2~3ヶ月かかるため、半導体メーカーは2~3ヶ月ごとのユーザーのニーズをある程度予測して生産する。たとえば、ニーズが高速品に集中してくれば低速品の製造は中止する。しかし、低速品の需要は一気になくならないため、低速品が不足し、価格が上がることもある。
需給が大幅に悪化した場合、価格下落は留まるところを知らない。 1997~1998年前半は顕著なケースであり、64M DRAMの価格は1997年初の50ドル弱から1998年半ばには4ドル前後まで、1/10まで低下した。これは、半導体産業が装置産業であり、経済原則からいえば、各社は限界利益が出る限りフル生産するインセンティブが働くためである。半導体の場合、メーカー間によってコスト差が大きく、同じメーカーでも工場の技術レベルによってコストが異なる。したがって、価格が下がれば、コストの高いラインを持つ工場から限界利益が出なくなり、生産を中止し、需給はある時点で改善してくる。
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