半導体用語集

EL 2準位

英語表記:EL 2 level

 ガリウムヒ素結晶中で,最も代表的な深い準位の一つで,フランスのLEP研究所から報告された電子トラップをエネルギーの深い方から順番に並べ,2番目としてのラベルがつけられたことから,EL2と呼ばれるようになった。EL2準位は,ヒ素のアンチサイト欠陥(AsGa)に関連した,深いドナー準位である。孤立したAsGaであるか,AsGaと格子間位置にあるAsとの複合体なのかは,最終的には決着がつけられていない。GaAsだけでなく,AlGaAsやGaAsP,InGaAs混晶中でも検出されている。
 GaAs中のEL2準位は,エネルギー位置が伝導帯の底から0.75eV下にあり,電子の熱的な活性化エネルギーは0.815eVである。両者の差は,電子の捕穫に対するエネルギー障壁の大きさを表わし,これは格子緩和に起因している。また,1.13eV付近の近赤外光の照射により,準安定状態に遷移する(フォトクエンチング現象)ことが,大きな特徴である。EL2準位は,フォトルミネッセンスによっても検出され,その発光帯のピークエネルギーは約0.63eVである。
 EL2準位は,LEC(Liquid Encapsulated Czhochralski)法,ブリッジマン法,有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)など,Asが過剰な雰囲気下で成長されたGaAs結晶中で検出される。特に,LEC結晶では,残留不純物である炭素アクセプタを補償する深いドナーとしてEL2が積極的に利用され,ノンドープの半絶縁性基板結晶を実現する鍵となっている。


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