半導体用語集

IRLAS(赤外半導体レーザ吸収分光)

英語表記:infrared diode laser absorption spectroscopy

赤外半導体レーザ吸収分光法(IRLAS)は、赤外領域の回転振動遷移線を特定した高分解分光計測法である。また、H2などの等核原子分子を除くほとんどすべての分子、ラジカルは赤外領域に振動吸収遷移を持つため測定可能な分子、ラジカル種は、きわめて多い。特に、半導体プラズマプロセスに用いられる主要なガス分子やガス分子の解離によって生じる、ラジカル種の絶対密度を非破壊で直接計測することが可能である。これまでに、Si系やダイヤモンド薄膜形成において重要なSiHx(x=1~ 3)、CHx(x=1~3)ラジカル、エツチング系では、CFx(x=1~3)のラジカルの計測が行われている。特に、SiH3、CF3、CH3ラジカルは、可視・紫外域にスペクトルを持たないため、計測が困難であったがIRLASによってはじめてプラズマ中の密度が明らかになった。IRLAS計測 には、 PbSnTeなどの鉛塩半導体レーザを光源に用いる。このレーザの発振波数は、数10Kの温度領域で温度を精密に変化させることによって数10cm まで変化させることができる。 このレーザを反応性プラズマ中に導入し、波長を掃引しながら所望の分子やラジカルによって吸収されたスペクトルを赤外検出器にて計測することにより吸収率を求める。この吸収率より絶対密度を算出することができる。測定限界は、現状のプラズマプロセスにおいて1010/cm3オーダである。測定精度は、主に、密度算出に必要な係数と吸収長の同定に依存するため測定環境やラジカル種によって誤差の範囲は異なる。測定時間は、基本的には計測器の応答速度で律則されるが、 これまで種々のラジカルの過度吸収波形を計測することにより、ラジカルの動力学や挙動のリアルタイムモニタリングができる。また、空間分解能は2mm程度であり、プロセス反応容器中のラジカルの空間分布の計測が行われている。空間分布に関しては密度が空間的な平均となるため、レーザ誘起蛍光法 (LIF: Laser-Induced Fluorescence) など他の計測方法と併用することで正確な密度分布を求めることが可能になる。プラズマに与える撹乱はまったくなく、安定性や汎用性にも優れている。


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