半導体用語集
PHEMT
英語表記:Pseudomorphic High Electron Mobility Transistor
高電子移動度トランジスタ(HEMT)の一種で、基板は格子定数の異なる半導体材料をチャネル層に用いたもの。チャネル層に歪が内在していることから歪HEMTとも呼ばれる。InGaAsをチャネルとしたHEMTを、GaAsをチャネルとしたHEMTと区別してこう呼ぶこともある。実用化されている高周波HEMTのほとんどは、このInGaAsチャネルHEMTによって占められている。高性能の原因は、InGaAsがGaAsにくらべ、電子の有効質量が小さいこと、電子遷移効果の原因となる有効質量の重い伝導帯の上のバレーのエネルギー位置が高いことから、InGaAsチャネル内の電子の方が、より高いエネルギーまで高速走行できるためである。実用化されているInGaAsのIn組成比は0.2程度で、基板との格子不整合による結晶欠陥が発生しない、いい換えれば、歪が緩和しない程度に抑えられている。低雑音PHEMTの性能は、ゲート長0.15µmで12GHzにおいて、ノイズ指数NFが0.35dB程度である。さらにInP基板を用いることにより、In組成のさらに高いInGaAsをチャネルに使うことができ、InP基板のPHEMTの研究も盛んに行われている。たとえばカットオフ周波数ƒᴛで350GHzという、すべての電子デバイスの中で最も高い値が報告されている。しかしながら、InP基板は高価であるため、実用化には課題が残されている。こうした高In組成のInGaAsチャネルをGaAs基板上に作製する方法として、メタモルフィックHEMTと呼ばれる技術が提案されている。メタモルフィックの場合、格子歪はバッファ層内で一部あるいは全部緩和され、したがってバッファ層内で欠陥が発生するが、これらがチャネル層にまで達しないよう、バッファ層構造が工夫されている。研究レベルでは、すでにInP基板のものに近い性能がえられている。
関連製品
「PHEMT」に関連する製品が存在しません。キーワード検索
フリーワードやカテゴリーを指定して検索できます
関連用語
関連特集
「PHEMT」に関連する用語が存在しません。
「PHEMT」に関連する特集が存在しません。
会員登録すると会員限定の特集コンテンツにもアクセスできます。