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半導体用語集

T/F金型

英語表記：Trimming and Forming die

　パッケージのアウタリードを加工する金型。なお，アウタリードを加工する金型は複数を組み合わせて使用することが多く，これら一連の金型をまとめてT/F金型と呼ぶ。
　T/F金型の技術開発は，QFP（Quad Flat Package）などのガルウイングリードのパッケージがファインピッチ化，多ピン化，大型化することに追従し，発達，発展した。したがって，本項のT/F金型は，QFPなどのガルウイングリードを前提に説明する。
　アウタリードの加工は，大別して，リードフレームの不要部分をカットする工程と，端子形状を成形する工程の2種類がある。カットする工程，成形する工程で用いる金型を，それぞれトリミング金型，フォーミング金型と呼ぶ。トリミング金型，フォーミング金型とも，主要部品はパンチ，ダイ，ダイセットなどで構成され，加工点部（ダイ，ポンチ）の材料としては，従来からSKD-11が広く用いられているが，近年，対摩耗性向上を目的に超硬系の材料の使用が増えている。
　トリミング金型は，ダムバカット，レジンカットを実施し，ケートカットを追加する場合もある。従来は，金型部品（パーツとも呼ぶ）の摩耗を考慮し，レジンカット後にダムバカットを実施するのが一般的であった。しかし，最近は，アウタリードのファインピッチ化とともにレジンカットとダムバカットを同時に実施する方式が主流となっている。
　さらに，ダムバカット工程は，カット時の偏心を考慮し，全辺を同時に加工することが望ましい。ダムバカットの注意点は，ダイとパンチの隙間であるクリアランス（リードフレーム材質や板厚により決定される値）を適切な値に設定することである。クリアランス設定値が不適切な場合は，ダムバの切断部にダレやカエリが発生し，曲げ成形時のコプラナリティが悪化したり，パーツの摩耗が進む。また，設計上の注意点は，モールド後のモールド樹脂収縮を考慮し，アウタリードピッチの収縮後の寸法で設計することである。
　フォーミング金型は，曲げの段階に従って，第一リードカット，フォーミング，第ニリードカット，シンギレーションなどと呼ばれる。ただし，これらのフォーミング金型，フォーミング方式の呼び方は，半導体メーカー，装置メーカー，金型メーカーなどで必ずしも統一されていない。さらに，コプラナリティを向上させるために，フォーミング工程後に，リフォーム工程を追加することがある。フォーミング金型の設計上の注意点は，アウタリードのスプリングバックによる戻り量を考慮すること，パッケージ樹脂部と樹脂部近傍のアウタリードにクラックを発生させないように，樹脂部近傍のリードを上下からクランプし，パッケージに無理な力をかけずに曲げ成形すること，などである。
　フォーミング方式には，ローラ曲げ，カム曲げ，シゴキ曲げなどがある。
　ローラ曲げは，アウタリード表面をローラが回転しながら成形する。アウタリード表面にコスレによるキズが発生しにくいという利点がある。QFPのローラ曲げでの基本的な工程は，最初にアウタリードを垂直方向に曲げる。次に，対向する二辺を水平方向に曲げ，残りの対向する二辺を水平方向に曲げた後，所定のリード長さに切断する。ローラ曲げにも欠点がある。具体的には，ローラ金型内にローラを配設するために，QFPなどの四方向リードパッケージでは，ローラを四辺に組み込むことがスペース上難しい。実際には，対向した二辺にローラを組み込み，2ステージに分割した工程で成形しており，コプラナリティの精度を確保するために，金型部品の加工精度，および組立精度の確保が課題である。さらに，2工程を加工するために，1金型での成形が困難で，金型台数が多くなる。
　カム曲げは，ローラ曲げと同じく，リードのめっきコスレを少なく成形する曲げ方式の一つであり，現在の主流の曲げ方式といえる。金型の開閉に連動して，ポンチまたはダイが開閉し，パンチの先端部がリードと接触しながら成形する。カム曲げの特徴は，パンチの垂直の動きに加え，カムの軌跡が外側から内側へ動き，パンチ先端がリード表面を擦る部分が少ないことである。なお，ローラ曲げと同様に，部品加工精度や金型組立精度の精度を確保することは当然である。さらに，カム曲げは，ローラ曲げと異なり，パンチ，ダイを同一ステージに組み込めるために，QFPを1工程で四辺同時に加工でき，リード成形の精度，コプラナリティの向上に優れる。
　シゴキ曲げは，金型が閉じた状態で，パンチとダイの空間が，所望の形状に成形する。シンプルであり，組立度も高く，QFPでは同一ステージで加工ができ，リード形状精度やコプラナリティの向上に優れている。しかし，曲げ成形時にパーツの先端部分がアウタリード表面を擦るために，はんだ擦れが大きくなるという欠点がある。

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