半導体用語集
バルク結晶成長
英語表記:bulk crystal growth
一般に、結晶成長法はその出発原料の状態の違いによって融液成長、溶液成長、気相成長、固相成長の四種類に大別される。今日の半導体産業で使用されるような、大型で高品質なバルク(塊状)結晶は主に成長速度の速い融液および溶液からの成長法により作成されている。これらの液相からの結晶成長法では、ほぼ熱平衡状態に保持した液相の一部に温度勾配をつけるなどして平衡から少しずれた非平衡な領域を作成し、この領域に種子結晶を接触した後、非平衡領域を移動することにより結晶を成長させる。液相の保持法や、非平衡領域の作成法とその移動方法にはそれぞれに開発の歴史があり、多数の成長方法が開発されてきている。以下、本項目では現在の代表的な半導体成長方法およびそれらと歴史的に重要な関連がある成長法について解説している。これらはいくつかの分類法によって分類されるが、代表的な分類を下に示しておく。ところで、化合物半導体のような多元素からなる物質の場合、融液と溶液の境界が曖昧である。たとえば、GaAsをGa(融点:約30度)に溶かした液体、あるいは GaAsを融解した時点で蒸気圧の高い Asが少し蒸発してしまった液体が、溶液なのか融液なのかは意見が分かれるところである。化合物半導体の成長方法も歴史的経緯を踏まえた下記の分類法によって整理されているが、曖昧な部分があることも事実である。融液法は、成分が変化することなく容易に融液が作成でき、かつ、調和融解(congruent melt:融点における液相組成と固相組成がほとんど一致する)して成長によっても液相組成が変化しない場合に道している。一方、非調和融解ホる物質や、融点が非常に高温である・液相からの一部成分の蒸気圧が非常に高いなど融液を作成・保持することが容易でない場合には溶液法が適している。融液法は、るつぼ内に保持された融液の上面から自由空間へ結晶を引き上げながら成長させる引き上げ法、融液をるつぼ内で固化・成長させるブリッジマン・タンマン法、そしてるつぼを用いないゾーンメルティング・ベルヌーイ法に大別され、結晶の種類や用途によって使い分けられている。特に引き上げ法とブリッジマン法は高品質の半導体結品成長に適しているため、さらなる高品質化を目指して数多くの改良が加えられ、それぞれ CZ法・液体封止チョクラルスキー法・MCZ法、高圧プリッジマン法・垂直プリッジマン法(VB法)・液体封止垂直ブリッジマン法(LE-VB法)•水平プリッジマン法(HB法)などが開発されている。融液法は不純物の分布に着目した分類もよくなされる。原料を一度に融解して成長とともに融液が減少する場合を一方向凝固あるいは正規凝固(normal freeze)法、融液量を一定に保つ場合をゾーンメルティング法という。この両者では結晶中の不純物分布が異なる。溶液法は非平衡状態の作成方法の違いによって分類され、溶媒蒸発法、温度降下法、濃度勾配法に大別される。
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