半導体用語集

PBS Poly-silicon Back Seal

英語表記:PBS Poly-silicon Back Seal

半導体基板の裏面にLP-CVD法によりポリシリコン(poly-Si:多結晶シリコン)を堆積させて、これをゲッタリングサイトとして活用する手法を指す。一般にポリシリコンにはドーピングをせず、厚さは1~2μmである。熱処理後の冷却過程で素子活性層の金属不純物が固溶減以下まで低下するため、PBS法のゲッタリングの機構は偏析型といえる。熱処理によりポリシリコンの粒界が消滅するにつれてPBSのゲッタリング能力も低下することから、PBS法における金属不純物のゲッタリングサイトは粒界が関係することがわかる。粒界の格子不整合などにより引き起こされる歪にシリコン結晶中の金属不純物が引きつけられる、Cottrell
効果による説が一般的であるが、Cottrell効果では金属原子を留まらせるにはエネルギー的に十分ではないとの反論もある。すでに現象論的にはコンピュータシミュレーションも適用されるに至っているが、金属不純物の原子レベルでの挙動とゲッタリングの機構に関してはまだ明確ではない。PBS法ではFe、Ni、およびCuなどにゲッタリング効果が認められている。CuやNiに対してはPBS法は非常に効果的であり、ポリシリコン層にはシリコン基板にくらべて103倍から105倍の偏析が認められる。使用するポリシリコン層は厚くても数μmオーダであるから、ウェハ厚さ(200mm基板で725μm)との比を考慮すれば、実際に下げられる素子活性層の金属不純物濃度は1/10から1/1,000である。一方、拡散速度の遅いFeに関しては、その効果は不充分である。
PBS法では裏面にゲッタリングサイトがあるために、素子活性層側に存在する金属汚染を裏面まで到達させるため長時間の熱処理が必要となるためである。低温ほど偏析の度合いは高まるため、低温時間の熱処理を加えてFeに対しても十分な拡散長を与えれば、かなりのゲッタリング能力を示すものの、Feのゲッタリングのためのプロセス設計は実際には行われていない。また熱処理を経ると、ポリシリコン結晶粒の再配列と基板から生ずる固相エピタキシャル成長が起こるために、ゲッタリング能力は劣化する。


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