半導体用語集
SMD(表面欠陥)
英語表記:Surface Micro Defect
SMDはウェハ表面層に存在する結晶の完全性を反映した欠陥と推定され、計測上はRCA SC-1洗浄を行った後にウェハ表面検査装置でごく微小(0.1μmレベルの大きさ)なパーティクルとしてカウントされるものを指している。その現象は1990年10月の第51回応用物理学会学術講演会において、また、SMDという呼称は1991年3月の第37回応用物理学会関係連合講演会および5月の179th Electrochemical SocietyMeeting(米国電気化学協会学術講演会)において(株)東芝の宮下、平塚らによって報告、提案されたものである。この報告において、ウェハ表面検査装置で計測されるものすべてを指してSMPD(Surface Micro Particle and Defect)、そのうちピットとして存在するものを分別して指す用語としてSMDを充てている。同様のものは、前述に先行して1990年3月の第37回応用物理学会関係連合講演会ならびに1990年11月発To Japanese Journal of Applied Physics誌において三菱金属(株)および日本シリコン(株)(現三菱マテリアル(株))の森田、降屋らによって、計測上のサイズこそ 0.2km レベルと大きいものの、RCA SC-1洗浄によって顕在化する浅いピットで結晶欠陥に関連すると推定されるものとしてCOP (Crystal Originated Particle) という呼称で報告されている。 「この両者は最初に報告された際のみかけのパーティクルとしてのサイズ領域や検出・検証方法、およびこれらに関連した用語定義こそ微妙に異なるが、実体は同一のものと考えられており、一般には学会における慣例に則り先に発表されたCOPという呼称で呼ばれることがほとんどである(東芝ならびに関係先以外ではSMDという呼称では事実上通用しないことが多い)。SMD・COPの実体は何らかの結晶欠陥に関係するものであることは最初の報告の段階から示唆されていたが、その実体については諸説あった。近年になりシリコン単結晶を育成する際の条件とりわけ熱履歴との対応についての情報が充実し、さらに熱処理による挙動や、電子顕微鏡による詳細な観 察が行われたことにより、SMD・COPの実体はシリコン単結晶中に存在し内面を薄い酸化膜に被われた微小な空孔(void)が、SC-1などのエッチング性のある洗浄により表面に露出し、さらにエッチングされたものであるという説が支持されている。この欠陥は、LSIを製造する際の重要かつ基本的な電気特性である酸化膜耐圧や接合リーク電流特性に悪影響を及ぼす可 能性が懸念されているが、現時点では影響があるない両説あり、完全には確認されていない。実体が単なる空孔 (void)であって、他の結晶欠陥とは少々性格が異なるために、ウェハ上に形成されるLSIにとって真に有害かどうかはよくわかっていないが、SMD・COPが多く存在するとウェハ表面に微粒子がついていた場合の検出に際してノイズとなるので、ウェハ表面検査装置の機能が現状のものである限りにおいては、あると都合の悪い欠陥であることは事実である。
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