半導体用語集
イオンビームデポジション
英語表記:ion beam deposition
堆積させたい薄膜の構成元素をイオンビームあるいはクラスタイオンとして基板に供給し、基板上に薄膜を堆積させる方法の総称として用いられる。物理的成膜技術の一つである。
イオンビームの特徴は、イオンビームのエネルギーを加速電圧を変化させるだけで数eVから数Mevまで自由に変化させうることである。イオンビームを固体に照射した時の作用で最も顕著な作用は、スパッタリング、堆積、イオン注入である。定性的には、低エネルギーイオンを固体に照射した時は薄膜堆積に利用することができ、エネルギーを大きくするとスパッタリング現象が顕著となり、さらにエネルギーを大きくするとイオンは固体中に侵入(イオン注入)する。
イオンビーム照射で被照射固体の原子が変位するエネルギーは、「変位のしきいエネルギー」と呼ばれる。ArイオンをSiに照射する場合は22eV、GaAsに照射する場合は7~12eV程度である。
一般にイオンビームデポジション法という場合は、堆積させたい薄膜の構成原子をイオン化する部分であるイオン発生部、あるいはイオン源と薄膜を形成する基板表面が空間的に判然と区別されている方法をいう。また、すべてイオン化した原子を基板に供給する方法である。これに対して、イオンプレーティング法では、イオン化部分と基板部分が判然と区別されていない。また、イオンプレーティング法では、堆積させたい薄膜の構成原子をイオン化しているが、一般的にイオン化率は一般的に0.1%以下である、イオンビームデポジションはイオンプレーティング法とは区別される。
Arイオンなどを照射して、表面での反応を促進する方法は、イオンアシスト法といわれる。イオンビームデポジションとイオンアシスト効果を両方兼ね備えた方法もある。
イオンビームデポジション法では、イオンエネルギーを制御可能であり、付着イオンの基板表面でのマイグレーション促進効果などにより、低温で半導体薄膜を形成できる利点がある。また、イオンビーム電流を正確に測定できるので、膜厚制御性が高いといった特徴を持つが、装置そのものが大規模になることから薄膜堆積の基礎研究には利用されているが、量産性を追求するLSIウェハプロセスにおける薄膜堆積には利用されていない。別項で述べるクラスタイオンビームデポジション法は、広義にはイオンビームデポジション法の一つであるが、一般的には区別して利用される。
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