半導体用語集

ウェル形成

英語表記:well fabrication

素子間絶縁やCMOS構造を製造する際に個々のトランジスタの領域を決定するために、ある程度の深さまで不純物ドーピングを行う。n型にドーピングされた領域(たとえば,この領域にはpMOSが形成される)にnMOS を形成しようとすればp型にドーピングした領域が必要となる。この領域をウェルと呼ぶ。
ウェル形成には、拡散法による不純物ドーピングが行われることがあるが、比較的深くまでドーピングしなく てはならないことから、高エネルギーイオン注入によって形成することができる。「超高エネルギーイオン注入」の項で示したように、不純物の分布は深さ分布が大きいため、通常イオン注入後熱処理によって不純物を再分布させてウェル構造を形成する。電極層とは異なり高濃度(>1019cm-3)でなく、1016cm-3程度のドーピングレベルとなるようイオン注入量が設定される。この程度のイオン注入量では結晶は非晶質化しないため、イオン注入ダメージを原因とする大きな構造の欠陥は生成されないと考えられるが、微小な欠陥が残留し電気特性に影響することがある。
CCD (Charge Coupled Device;電荷結合素子)を作成する際には、低エネルギーイオン注入によってウェル形成を行った場合にくらべ、高エネルギーイオン注入によりウェルを形成した CCDの性能が上回るとされている。 キャリアの再結合中心として作用するイオン通過領域に残留、または再生成される欠陥の量に違いがあると考えられる。


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