半導体用語集

レトログレード

英語表記:retro grade

拡散法により基盤表面から不純物ドーピングを行う場合には、不純物濃度の深さ分布は深くなるにつれ濃度が徐々に低下する。これとは逆に深くなるにつれ濃度が増加する不純物分布をレトログレードと呼ぶ。CMOSの構造において、nMOSと pMOS間に寄生するサイリスタの ONによるラッチアップ対策として、ラッチアップが起こりにくい基盤濃度やウェルの不純物濃度(または抵抗)に最適化しなくてはならない。ウェル層内が持つ抵抗が大きい場合にラッチアップ条件が成立しやすいため、寄生サイリスタを主とする寄生回路の中の抵抗成分となるウェル層下部の抵抗を下げる必要があるため,基盤表面よりもウェル層下部において不純物濃度が高くなるようドーピングを行う。
「超高エネルギーイオン注人」の項で述べたように、高エネルギーイオン注入された不純物分布は、基盤表面から飛程に向けて増加するのが特徴であり、レトログレードの不純物分布を形成する技術として、高エネルギーイオン注入は最も適している。 ウェル形成を拡散法または高エネルギーイオン注入+熱処理によって形成した後に、ウェル層終端(基盤側)が飛程となるようイオン注入エネルギーを設定し、イオン注入量は、飛程においてウェル層の不純物ドーピング量を上回るように設定する。レトログレードの不純物分布は半導体基盤内に不純物分布により形成される内部電界の向きを制御することができ、ラッチアップを防ぐ効果がある。すなわち、ウェル内の不純物分布をレ トログレードすることによって形成される内部電界により、荷電粒子によって生成されたキャリアを寄生トランジスタ領域外に流し出す、または流入を防ぐ効果が期待される。
「超高エネルギーイオン注入」の項で述べたように、高エネルギーイオン注入された不純物分布は、基盤表面から飛程に向けて増加するのが特徴であり、レトログレードの不純物分布を形成する技術として、高エネルギーイオン注入は最も適している。ウェル形成を拡散法または高エネルギーイオン注入+熱処理によって形成した後に、ウェル層終端(基盤側)が飛程となるようイオン注入エネルギーを設定し、イ オン注入量は、飛程においてウェル層の不純物ドーピング量を上回るように設定する。また、高エネルギーイオン注入された不純物分布は飛程よりも深い部分で急峻に濃度が減少する特徴か あることから、ウェル層の形成の後にレトログレードを目的とした高エネルギーイオン注入は、ウェル形成においてもウェル領域を明確にする付加価値があるといえる。


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