半導体用語集
サイクロトロン共鳴
英語表記：cyclotron resonance
一般に，静磁場中に置かれた電子が，サイクロトロン周波数に等しい角周波数の電磁波を共鳴的に吸収し，軌道半径を増大する現象をいう。静磁場中の電子は，磁場に垂直な面内では，ある角周波数で円運動を行っている。この角周波数はサイクロトロン周波数と呼ばれ，電子の電荷をe，有効質量をm*，磁束密度をBとすると，サイクロトロン周波数ωcは，ωc=eB/m*で与えられる。量子力学的には，サイクロトロン共鳴は，電磁波の吸収により電子が，エネルギー間隔ηωcのランダウ準位間を遷移することに対応する。半導体中の電子や正孔については，数テスラの磁場を印加すると，遠赤外領域の電磁波（光エネルギーでは，数meVから数10meVに対応する）の吸収が起きる。サイクロトロン共鳴は，キャリアの有効質量や固体のバンド構造を決定するための最も標準的な手法の一つである。
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