半導体用語集

ステッピングモータ

英語表記:stepping motor

 パルスモータとも呼ばれ、入力したパルス数(実際には、モータのステータ側にある複数の駆動コイルの電流切り換えを、その入力パルスにより実行する)に比例する回転角と、単位時間あたりのパルス数に比例した回転速度をえられる構造を持ったモータである。ACおよびDCサーボモータは、フィードバック制御により回転位置や速度を制御しなければならないため、複雑なサーボ回路が必要であるが、ステッピングモータの場合、オープンループ制御のため、制御回路が比較的簡単である。
 構造的に分類するとVR(Variable Reluctance)型(図1)、PM(Permanent Magnet)型(図2)およびハイブリッド型(図3)の3種類がある。VR型はロータ(回転子)として透磁率が高い鉄心を用い、駆動コイルを巻線したステータ(固定子)の歯と若千の位置をずらした位置に置かれた構造を持っている(実際には図のように、ロータ側とステータ側の歯数を変えてある)。ステータ側の駆動コイルに電流を流し、磁化することによりロータを回転させるが、回転角により磁気抵抗が変わるのが特徴である。PM型はロータとして永久磁石を利用しており、ハイブリッド型は両者を兼ね備えた構造を持っている。
 半導体技術、特にパルス発生用のマイコンや専用ICの開発、および駆動用のトランジスタ、FET、IGBTの開発、また駆動コイルの数に合わせた出力駆動素子数を持つICやモジュールの開発により、非常に使い勝手がよくなってきている。
 たとえば、プリンタの紙送りやヘッド送り、PPCの紙送り、HDDやFDDのヘッド送り用として、数多くステッピングモータが利用されている。マイコンによって各相に必要な可変速パルスが発生され、その信号によりバイポーラトランジスタ、FETやそのモジュールによって、モータの各駆動コイルをスイッチすることにより、パルス数に応じた回転角(あるいは回転速度)をえている。たとえば、プリンタ専用マイコン、FDD用1チップICなどには他の回路と合わせ、ステッピングモータの制御に必要なパルス発生回路を内蔵しているものが多い。また、5相のステッピングモータの複数多相励磁法(複数の相を同時に励磁する方法)の採用により、DCサーボモータ並みの特性もオープンループでえられるようになっている。さらにステッピングモータの欠点である回転ムラは、マイクロステップ駆動法の採用により解消され、その応用分野を拡大している。これら高性能ステッピングモータの開発は、複雑な駆動パルスを必要なタイミングで発生させるマイコン、あるいは専用LSIや多くの出力駆動用ドライバをモジュール化、あるいはIC化したドライバ素子の開発と歩調を合わせて進められてきている。


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