半導体用語集
ステップアンドスキャン
英語表記:step-and-scan
レチクルとウェハを逆方向に同期させながら走査して、マスクのパターンをウェハに転写し、その動作をウェハの他の場所でも行って複数のバターンを露光する方式のことを指し、またそのような装置をスキャナと呼ぶこともある。1996年くらいから使われ出した。 レチクルの像は投影レンズを通して反転するため、レチクルとウェハの走査方向は逆になる。速度比はn倍体のマスクを用いる時にはレチクル速度がウェハ速度のn倍になる。一般的には走査方向をy方向 (スキャン方向)、それに垂直な方向をx方向 (スリット方向) と定義することが多い。従来のステッパ方式で露光する場合は静止露光(スタティック露光)、レチクルとウェハを同期させながら露光する場合はスキャン露光またはダイナミック露光と呼ばれて区別される。
スタティック露光の場合の露光面積は、x方向の長さでは従来のステッパとほぼ同じであるがy方向は数分の1 と短い。そのため投影レンズの小型化が実現する。スキャン露光にすることでy方向にレチクルが動きながら露光されるため、x方向の長さは変わらないがy方向の長さは長くでき、従来のステッパの場合よりも露光面積を大きくできる。またスキャン方向は平均化されて露光されるため、ディストーションなどの精度が向上するといった利点がある。一方、スキャン露光ではレチクルとウェハを高速で走査させるため、床などからの振動を抑制することが重要となる。スキャン露光においてはレチクルとウェハの同期の兼ね合いが取れていることが正確にマスクの像を転写させるための条件である。レチクルとウェハの相対的な位置すれを同期精度という。同期精度はレチクルとウェハの姿勢、スキャン方向、スキャン速度比によって決まる。レチクルまたはウェハが平行にならす回転したまま露光するとバターンが傾いて転写される。レチクルとウェハの走査方向がすれていると正方形のパターンが菱形のような形に歪んで転写され、このことをスキューという。レチクルとウェハの速度比が異なるとバターンの方向が変形する。レチクルおよびウェハのx、 日方向の位置は、レーザ干渉計を用いてレチクルとウェハそれぞれが独立に計測される。その値をフィードバ ックすることによりステージを制御する。スキャン露光を開始する前には、レチクルとウェハをともに露光開始段階で一定速度に達するようにあらかじめ加速しておく。そのためある程度の助走距離が必要である。またこの助走の間に焦点を計測しておく。ウェハの端付近をウェハの内側から外側へ向かって露光する場合には焦点の計測が可能な場合が多いが、外側から内側へ向かって露光する場合には助走の空間がウェハ外にある場合があり、この場合には焦点の計測ができず、焦点精度がえられない。装置を使用する場合はウェハの形状とショットの配置を考慮して、またスルーブットや転写性能を考えながら露光の順序とスキャン方向を決定する必要がある。スキャン方式の場合の照度は線照度といい、y方向に平均化されたものである。単位はW/mである。
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