半導体用語集
デジタル方式
英語表記:digital (PDC: Personal Digital Cellular, GSM: Global System for Mobile communications, cdmaOne)
音声の低ビットレート符号化技術の進展により、無線区間の伝送信号をデジタル化した方式が欧州(GSM: Global System for Mobile Communications)、日本(PDC: Personal Digital Cellular)、北米(D-AMPS: Digital-AMPS)で相次いでサービスを開始した。
GSMは欧州統一方式としてスタートしたが、 日本および北米を除く事実上の世界標準となり、120ヶ国、約1億のユーザーに使用されている(1998年7月末頃)。一方、PDCは日本だけのシステムであるが、1998年11月現在3,700万以上のユーザーを抱えている。
これに反して北米ではデジタル化が必要なほど周波数が逼迫していなかったこと、ユーザーからみればアナログのAMPS方式に比べてサービス性で大差なかったことから、デジタル方式が欧州、日本ほど発展していなかった。
これらのデジタル方式は、多重数といわれる数に等しい数のユーザーが一つの無線チャネルを時分割で共用するいわゆるTDMA(Time Division Multiple Access; 時分割多重アクセス)という技術を使用していた。しかしその後、複数のユーザーが時間と周波数を共用する代わりに、使用する符号(code)で個々を識別するいわゆるCDMA(Code Division Multiple Access; 符号分割多重アクセス)を移動通信向けに適用する技術が開発され、1996年から米国、韓国他で採用された。cdmaOneというシステム名で1998年9月現在1,600万ユーザーを数えている。
音声符号化方式については、固定通信系が64 kbpsを標準的に使用しているのに対して、PDCにおける5.6kbps(ハーフレートCODEC)を最高にいずれも低ビットレート符号化が採用されている。さらにcdmaOneでは、信号送出を必要最小限に押えるため、音声の有無などに応じて符号化ビットレートを変える可変ビットレート符号化方式が採用されている。無線変調方式としては、所要の無線チャネル帯域幅をできるだけ狭くするため、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying; 4相位相変調)やGMSK(Gaussian Minimum Shift Keying)という狭帯域変調方式が採用されている。TDMA方式では無線区間の信号速度が42kbps(PDC)~270kbpsと高速になるので、建物からの反射や回折など、複数の経路を経て到達した電波の遅延時間差が符号間干渉を生じさせ符号誤り率を劣化させる。このため PDCでは2本のアンテナによる受信信号を合成することによって品質を改善するダイバーシチ受信が採用されているし、GSMでは遅延時間差を補償する等化回路を採用している。
一方CDMA方式は、拡散によってみかけ上の符号速度(これをチップレートという、cdmaOneでは1.25Mcps)がきわめて高速になるからこの問題はより深刻な筈であるが、逆に遅延時間差が大きすぎるため個別の信号に分離することが可能である。そこで遅延信号を個別に受信して合成するRAKEと呼ばれる一種のダイバーシチ受信方式によって、従来は干渉の原因となっていた遅延信号を逆に品質改善に利用している。CDMA方式は、単位周波数あたりの収容可能ユーザー数、すなわち周波数利用効率を高めることができる他、信号伝送の信頼度が高く、携帯機の平均送信電力を低減できることから、21世紀の世界標準移動通信方式として、世界電気通信連合(ITU)で標準化を進めているIMT 2000(International Mobile Telecommunications 2000)の有力な無線アクセス方式とみられている。
関連製品
「デジタル方式」に関連する製品が存在しません。キーワード検索
フリーワードやカテゴリーを指定して検索できます
関連用語
関連特集
「デジタル方式」に関連する特集が存在しません。
会員登録すると会員限定の特集コンテンツにもアクセスできます。




