半導体用語集

トムソン散乱法

英語表記:Thomson scattering

 プラズマ中にレーザを照射すると、質量の小さい電子が主に光の電界によって加速度を受けて光を放出する。これは、電子との弾性散乱であり、入射レーザ光のエネルギーが電子の静止エネルギーにくらべて小さい時に起こる。このような散乱光から電子の密度や温度の情報をえる方法をトムソン散乱法という。トムソン散乱法は、電子のエネルギー分布計測に最も信頼性のある方法である。また、散乱計測では、電磁波の進行方向とは異なる方向へ散乱光を観測するので、電子密度、電子温度およびイオン温度の局所値がえられ、空間分布計測が可能となる。トムソン散乱では、散乱断面積が小さいので大きな出力のレーザが必要となり、ルビーレーザ(波長694.3 nm)などが用いられているが、プラズマの時間変化の測定には、繰り返し周期の早いYAGレーザが用いられる。低圧のプラズマプロセスにおいては、たとえば、最大出力500mJ、パルス幅10ns、最大繰り返し周波数10HzのパルスYAGレーザの第二高調波(532nm)を電子サイクロトロン共鳴プラズマ(ECR)中に照射して散乱光を受光した後、ダブルモノクロメータと光電子増倍管あるいはCCDカメラによって検出し、コンピュータ処理することにより、電子密度と電子温度がえられている。これまでに、トムソン散乱法を用いて、ECRプラズマ反応容器中の電子密度および電子温度の半径方向、軸方向分布の定量的な詳細が調べられている。この方法は、プロセスプラズマ源の物理的機構を解明するうえで今後利用されていくことが期待される。

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