半導体用語集
トレンチエッチング
英語表記:trench etching
STIの製造工程においては、シリコン基板に溝(トレンチ)を形成するために異方性ドライエッチングを行う。このエッチングをトレンチエッチングという。 トレンチのエッチングにおいて重要な点は、溝の深さおよび溝の角度(テーパ角)を制御することである。溝の深さは実効的な素子間の距離に相当し、STIの素子分離能力を決定する。深いほど素子間の絶縁性は向上するが、深すぎると溝を絶縁膜で埋設した時に完全に溝を充填しきれず、溝中に穴(ボイド)ができ、かえって絶縁性が悪化する、あるいは上地の配線がショートしてしまうなどの問題が生じる。一方、溝に傾斜をつける(テーパをつける)ことは、溝を埋めやすい形状にするだけでなく、溝側面にかかる応力を緩和する効果がある。また、トランジスタ特性においても、テーパをつけることにより溝上端部のシリコン基板にかかるゲートの電界が緩和され、溝端部のチャネルが先にオンする現象を防止することができる。したがって、溝の深さ、テーパ角を制御することは良好なデバイス特性をえるうえで不可欠である。
エッチングにはHBr、Cl₂といったガスを用いる。溝の深さは一般にエッチング時間によってコントロールする。トレンチにテーパをつける場合には、これらのガスにO₂ガスを添加する。O₂を添加すると、エッチング中に酸化膜系(SiOx)の反応生成物が発生し、溝の側面に付着する。HBr、Cl₂といったガスでは酸化膜はほとんどエッチングされないため溝の側面は保護され、その結果、溝にテーパがつく。HBr(あるいはCl₂)とO₂ガスの比率を変え、溝の側面に付着する反応生成物の量を変化させることによってテーパ角を制御することができる。溝にテーパをつけるほどSTIの応力は緩和され、トランジスタ特性も向上するが、角度をつけすぎると過剰の反応生成物が生じ、針状のエッチング残渣が発生しやすくなる。
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