半導体用語集
ピエゾ効果
英語表記:piezo effect
圧電効果ともいう。ある種の結晶に特定の方向の力を加えると応力に比例した電気分極が発生し、結晶の表裏に正、負の電荷が生じる現象である。分極と応力の間の比例関係を表わす係数を圧電率という。分極のベクトル成分をPi、応力のベクトル成分をσjとするとPi=∑dijσjとなり、dijが圧電率である。結晶が圧電効果を示すか否かは結晶の点群対称性によって決まり、32の晶群のうち20晶群が圧電効果を示す。圧電効果を示す結晶でも、結晶の対称性が増加するにつれdijの0でない成分の数は減少する。圧電性の単結晶として知られているものには水晶、ロッシェル塩、LiTa03、LiNb03などがあり、BaTi03の微粉末を焼結したような多結晶圧電セラミックスもある。逆にこれらの結晶に電界を加えると電界に比例した歪が生じるが、これを逆圧電効果ということもある。圧電効果、逆圧電効果はトランスデューサ、マイクロフォン、ピックアップなどの機械的な変位と電気信号の変換素子に広く用いられている。半導体ヘテ口構造では格子定数差による歪がある場合に、歪による応力が分極を生む可能性がある。AIGaAs/GaAsのような格子定数差のほとんどないものではこの影響はないが、InGaAs/GaAsのような歪系ヘテロ構造では、特に(001)面以外の高指数面でピエゾ効果が影響してくる。せん亜鉛鉱型構造より結晶対称性の低いウルツ鉱型構造を有する GaN系では、歪によるピエゾ効果はきわめて重要で、量子井戸中のピエゾ電界により電子、正孔が井戸の両側に局在し発光効率が低下したり、ノンドープヘテロ界面にピエゾ効果でキャリアが蓄積したりする。なお、音響フォノンによるキャリアの散乱機構の一つにもピエゾ効果は重要な働きをしている。このピエゾ電気音響フォノン散乱は、音響フォノンによる局所的結晶の歪が局所的分極を生じ、結果的にキャリアを散乱するものである(「フォノン散乱」の項参照)。また、半導体に圧力を加えると歪により格子定数が変化し、バンド構造が変調されるため、抵抗値が圧力により変化するものが多い。このような抵抗の変化をピエゾ抵抗効果というが、Siのピエゾ抵抗効果は、実際に高感度のストレインゲージとして使用されている。
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