半導体用語集

ブリユアン散乱

英語表記:Brillouin scattering

 物質中の音響フォノンとの相互作用により,入射した光の周波数がフォノン周波数だけずれた散乱光を出射する現象をいう。ブリユアン効果ともいう。発見者のブリユアンの名に由来する。音響フォノンによるラマン散乱ということができるが,音響フォノンによる散乱をブリユアン散乱,光学フォノンによる散乱をラマン散乱と定義することが多い。ラマン散乱と同様に,周波数の低くなるストークス光と,周波数の高くなる反ストークス光が観測される。
 ブリユアンは,入射した光が物質中に超音波を励起し,ドップラ効果により光の周波数が超音波の周波数だけずれて散乱されると考えた。励起された超音波がインコヒーレントであれば,散乱光もインコヒーレントである。これに対して,コヒーレントな超音波を考えた時,物質の屈折率が超音波の振幅に比例して変化して周期的な回折格子を作り,入射した光がブラッグ条件を満たす方向に強く散乱する。入射光がコヒーレントであれば散乱光もコヒーレントになる。これは音響光学効果であり,ブリユアン散乱とは厳密には区別される。
 ブリユアン散乱光の周波数は入射光の周波数から音響フォノンの周波数(MHzからGHz程度)だけシフトするが,その観測にはファブリ-ペロー共振器のようなスペクトル分析器が必要となる。
 誘導ラマン散乱と同様,入射コヒーレント光の強度が大きな時,誘導ブリユアン散乱も起こり,周波数変換に応用されている。


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