半導体用語集

ベルヌーイ法

英語表記:Vernuil method

 ベルヌーイ法は、るつぼを用いない融液からの成長法であり、結晶上に一定量の融液が浮遊しているので一種のゾーンメルティング法ということができる。一般的なゾーンメルティング法との違いは原料が粉末であることである。原料粉末の加熱・融解手段としては酸水素炎を初めとしたガスバーナや、アークイメージ、高周波、電子線、プラズマなどが検討されている。酸水索炎を用いる方法は、約100年前、フランスの科学者ベルヌーイによってルビー、サファイアなどの宝石の合成・成長を目的として考案されたもので、炎融法(flame fushion)とも呼ばれている。高融点酸化物であるルチル(TiO₂の高温安定相)、NiO、CoO、MnOなどもこの炎融法により作られた。最近、酸化物超伝導薄膜成長用基板として注目されているチタン酸ストロンチウム(Nbを添加すると半導体化する)は、融点が高く適当なるつぼがないため、ベルヌーイ法のみにより工業的に製造されている。酸水素炎を用いる一般的なベルヌーイ法では、同心三重管の最内管上部から粉末原料、第二、第三の管上部からそれぞれ酸素、水素を供給し、下方の出口で点火して粉末を加熱溶融し、下部の受台(棒)あるいは種子結晶の先端に堆積して融解帯を形成し、この融液の底部を冷却することによって結晶を成長する。結晶の形状や完全性は原料の供給速度、ガス炎強度、種子結晶引き下げ速度に依存し、これら三者をバランスよく適正に操作するためには熟練した技術が要求される。原料供給速度を一定に保っためには、粉末の形状・粒度、乾燥度(スベリを左右する)の管理が重要であり、スベリのよい有機バインダを用いて造粒することも行われている。また、原料タンク下部には通常メッシュが取りつけられており、振動子やハンマの衝撃により供給最を制御する方法が取られている。ガス炎強度については酸索、水索の流量制御はもとより、ガスの供給元圧、純度にも留意することが重要である。また、酸化物結晶では成長雰囲気の酸化・還元性の程度によって結晶中に酸素欠陥(過剰・欠乏)が発生するので酸素/水素流量比率にも注意しなければならない。成長速度の選定は、融液の保持の観点からのみでなく、熱歪についても考慮する必要がある。結晶上に保持される融液の最・形状の安定化には供給量と消費量(結晶に変化する量)がうまくバランスされていることが必要であるが、さらに、多少バランスがくずれても自動的に復元するよう炉の設計を行うことが望ましい。このため、ベルヌーイ法用成長炉は温度勾配を大きくして固液界面と熱源の距離が変動しないように設計してある。このため結晶内に熱歪が生じ易く結晶が割れることもあり、成長速度を遅くしたり、成長後の冷却速度を遅くするなどの対策が取られている。


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