半導体用語集
マンハッタン現象
英語表記:Manhattan phenomenon, chip standing
表面実装方式のプリント配線板のはんだ付けで,抵抗やコンデンサなどの徴小チップ部品がリフローソルダリングの時に,一方の側のランドの方に引っ張られて立ち上がってしまう現象。ニューヨークのマンハッタンのビル群のようにチップが立つことからそう呼ばれる。また,ツームストーン(墓石)現象とも呼ばれる。
マンハッタン現象は,溶融はんだの表面張力の作用によるものであり,簡易的なモデルとして以下の式で表わされる。
T₁:チップ部品の自重によるモーメント,T₂:チップ下部の溶融はんだによるモーメント,T₃:チップ端外側の溶融はんだによるモーメント,m:チップ部品の単位幅当たりの質量,g:重力加速度,γ:溶融はんだの表面張力,s:チップ部品端子の導体幅,r:はんだ付きランド長,d:回転支点とチップ部品の重心との距離,f:チップ部品の端子幅,とした場合,
T₁=m•g•d·cos(φ+0)
T₂=γ•s·cosφ/2
T₃=r·f·sin(φ+ω)
であり,T₃>T₁+T₂の場合はチップ立ち発生,T₃<T₁+T₂の場合は発生しない。マンハッタン現象は,リフロー中のある瞬間,チップ部品を立たせようとする回転モーメントがそこにとどまろうとする回転モーメントに打ち勝った結果起こる。
発生要因は,左右ランドサイズの不均一,左右ランドのはんだ量塗布の不均一,チップ搭載位置ずれ,リフロー工程におけるはんだ溶融タイミングのずれからくる温度の不均一,電極の濡れ不均一,ランド寸法の大きすぎなどがあり,いずれの場合にもはんだが濡れる時の表面張力で回転モーメントを発生させる。チップ搭載位置精度の向上,はんだペースト印刷条件の適正化,リフロー条件の適正化,同一基板上の搭載部品配置の適正化などを施すことにより対策できる。
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