半導体用語集

ランアウト

英語表記:runout

投影パターンのウェハ面上の位置シフト。X線マスクとウェハ間に微小ギャップを設けて、互いに平行に配置してX線を照射する近接露光方式において、照射X線がマスクパターンに対してある入射角を持つ(マスクの垂直方向からすれる)と、マスクパターンのウェハ面上への投影像はマスクパターンの真下ではなく、水平方向にシフトした位置にすれる。この現象を指す場合とすれ量を指す場合がある。
X線マスクから垂直方向に距離Dだけ離れたX線源の中心からの放出されるX線が、X線マスクの中心から横方向にだけ離れた位置のマスクパターンを照射すると仮定した時、マスクパターンへ照射されるX線の入射角はθ= R/Dだけ垂直方向から ずれる。マスクパターンのウェハ面上への投影位置は、この角度の延長線上でマスクとウェハ間のギャップGに応じた位置にずれるので、ランアウトζは、次式で計算される。
   ζ=(R/D)G =θG
すなわち、ランアウトはマスクパターンを照射するX線の入射角と露光ギャップに比例する。一般に、X線マスクの中心を照射X線源の中心に合わせるので、X線マスクの中心にあるパターンにはランアウトは発生しない。パターンがマスクの中心から外れるはど入射角度が大きくなるのでランアウトも大きくなる。このため点光源の場合のランアウトは同心円上に大きくなっていく。たとえば、D =120mm、R = 10 mm、G = 15μmの時のランアウトζは、1.25μmと大きな量である。一方、 指向性の高いシンクロトロン放射光を垂直方向にミラーで揺動して照明する場合の入射角の最大値は4mrad程度になり、15μmギャップでのランアウトζは, 0.06μmとなる。ランアウトは、線形関数であるので、X線マスクのパターン位置を相当分だけ、あらかじめずらしておくことにより補正することが可能である。しかし、露光ギャップが設定目標値からずれた(ギャップ変動が発生した) 場合、ランアウト誤差が発生する。この誤差は、上式のGをギャップ変動量δGとすることにより計算される。


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