半導体用語集

指向性

英語表記:directivity

X線源(発光点)から放射される X線の発散(広がり)の度合。放射方向が揃っていて発散角が小さいほど、いい換えると、平行光束に近いほど、指向性が高いという。電子衝撃型 X線源は広い角度範囲 (ターゲット面の前方すべての角度範囲) でX線が放射されるので指向性が低いX線源であるのに対して、シンクロトロン放射光源は放射角として1~数mrad. 程度の狭い角度範囲だけにX線を放射する指向性の高いX線源である。これは電子が光速に近い速度で運動する場合、相対論的ドップラー効果により電子と同し方向に進む電磁波は短波長化され、反対方向に進む電磁波は長波長化されることによる。 電磁波の工ネルギーは波長に反比例するので、波長の短い前方に放射強度が集中することになり、指向性が高まる。近接露光方式のX線源としては指向性の高いX線源の方が、半影ポケやランアウトが小さくなるために露光特性 (解像性および転写位置精度) は良くなる。 このため、指向性の低いX線源の場合は、X線源からX線マスクまでの距離を離して露光に利用する、すなわちX線の角度範囲を小さくする(平行光束に近づける)手法が取られる。しかし、X線の利用範囲を狭くすると、それだけX線パワーが低下するので高輝度化には反する。一方、指向性の高い光源は、そのままでは広い領域の照明ができないので、X線ミラーなどの光学系を用いた照明領域の拡大手段が必要となる。


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