半導体用語集
信頼性設計と予測
英語表記:reliability design and prediction
信頼性設計と信頼性予測は表裏一体であるため,ここで一緒に解説する。
信頼性設計は回路設計やプロセス設計あるいはデバイス設計といったように,ある固有技術に基づいて分割して行われる設計とは異なり,製品の企画・開発の全段階にわたって行う必要がある。開発担当者らにより地道に行われることが重要である。開発のステップに対応した主な作業項目の例をみていく。
(1)FS(Feasibility Study;実行可能性検討)段階:信頼性要求の明確化,信頼性指標の明確化,デバイス全体の仕様の決定。
(2)設計・開発段階:企画審査会,TEGなど部分的要素を用いた信頼性試験,信頼性予測,熱設計,安全性設計,設計FMEA/FTA,基本設計審査,製品での信頼性試験,詳細設計審査会。
(3)生産準備段階:量産移行判定会。最終的な信頼性予測。
信頼性予測は,主に次にあげる三つの方法を総合して行う。
(1)個別要素の積み上げで行う:半導体デバイスは直列系であるため,配線,トランジスタなどの個々の構成要素が信頼性上独立であれば,個々の構成要素の故障率の和が,半導体デバイス全体の故障率となる。このため個々の構成要素の故障率をTEGなどを用いて予測し,それを積み上げることにより算出できる。実際はすべての構成要素の故障率予測が精度よくは行えないことと,個々の構成要素が信頼性上独立ではないことから,他の方法による信頼性予測も併用する必要がある。
(2)製品での信頼性試験を基に予測する:実際の製品での試験は,使用環境を十分把握し,十分の数を十分な時間をかけて行えば,かなり精度のよい予測ができる。ただし,これは現実的ではない場合が多いため,他の方法も併用する必要がある。
(3)市場での実使用時のデータを基に予測する:まったく新規なプロセスや材料を用いた場合はこの方法は適用できないが,それ以外の場合には,この方法が適用可能である。ただ,市場でのデータはランダム打ち切りデータが多いうえに使用環境なども明確でない場合が多く,精度の高い解析は困難な場合が多い。このためこの方法は単独では精度のよい予測はできず,他の予測法との併用が必要である。
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