半導体用語集

化学的気相成長法

英語表記:CVD:Chemical Vapor Deposition

気相で薄膜を形成する方法の一つである化学的気相成長法をいう。気相で成長する方法は他に、PVD (Physical Vapor Deposition)である蒸着やMBE (Molecular Beam Epitaxy)などがある。超高真空を必要とする MBEなどと異なり、CVDによる導 膜形成は比較的簡単な装置で目的とする組成の膜を高品質に、かつ大量に製 造可能なため、poly-Si、窒化膜の形 成、化合物半導体の有機金属気相成長 (Metal Organic-CVD)、およびSiエピタキシャル成長など半導体産業では広く用いられている。ここではSi/Siエピタキシャル成長のCVDについて述べる。Si/Siエピ タキシャル成長では加熱された単結品基板上にSiCl4、SiH4、などのSiを含んだ化合物をキャリアガスと一緒に供給し、Siエを基板上に析出させるい方法である。生ずる化学反応により、原料ガスとしてSiCl4などを用いた場合の水素還元法、SiH4などの熱分解法、および不均等化反応法があり、化学反応式は次式である。
水素還元法:SiCl4+2H2→Si ↓+4HCI
   熱分解法 : SiH4 → Si ↓+2H2
    不均等化反応 : 2 SiCl2 (低温)⇆(高温)Si ↓+ SiCl4
熱分解法、水素還元法は生産技術として実用化されているが、不均等化反応は反応の制御が難しいため実用化はされていない。ただし、シリンダ型エピタキシャル装置で原料ガスとしてSiCl4を用いた場合に生ずる裏面エッチングなど実際の反応では、他の反応と競合して起こる場合がある。CVD 法でのエピタキシャル成長速度の温度依存性は、低温での温度依存性の大きい表面反応律速領域と、高温での温度 依存性の小さい拡散律速領域に分けられる。通常の成長では拡散律速領域を用いるため、成長速度は温度よりも成長ガス濃度に依存し、正確なガス流制 御が必要となる。また、CVD法では、 p型ではB2H6、n型ではPH3 、AsH3を反応系に導入することにより簡単にドーピング(エピタキシャル膜中に所望量のドーパントを入れること)が可能である。エピタキシャル膜中のドーパント濃度は供給ガス中のドーパント濃度にほぼ比例する。デバイスに必要とするエピ膜中のドーパント濃度は1014~1017 atoms/cm3 (0.1~100Ω・cm)なのでドーパント濃度はppb-ppmのオーダになり、非常に精密なガス濃度制御が必要である。


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