半導体用語集

気相成長

英語表記:vapor phase growth

気相より薄膜を形成する成長法で物理的気相成長法(Physical Vapor Deposition)と化学的気相成長法(Chemical Vapor Deposition)がある。半導体デバイス製造において、poly-Si、窒化膜、配線材料の形成、Si/Siエピタキシャル成長など広く利用されている。物理的気相成長法には蒸着、分子線エピタキシャル成長(MBE: Molecular Beam Epitaxy)などがある。蒸着は成長させる材料を真空中で蒸発させ基板上に推積させる方法である。簡便な方法であるが Si/ Siエピタキシャル成長では利用されていない。MBEは超高真空中で,成 長させる材料を分子ビーム状にして基 板上に供給し、単結晶を成長させる方法である。MBEを発展させたクラス タビーム法ラジカルビーム法なども 検討されている。MBEは超高真空中で実施されるため、∼200°Cの低温での成長が可能である。また、平均的な成長速度は0.1∼1nm/sと遅く、ド ーピングもドーパント導入の on-off により簡単に制御できるので、原子レベルでの深さ方向ドーパント分布制御が可能である。この特性を活かして超格子やドーパント濃度を深さ方向に対して(深さ)-3/2に制御したバラクタダイオードなどが作製されている。 MBEはドーパント濃度を深さ方向に 自由に制御できる点では理想的な方法 であるが,超高真空を必要とするなど生産性に難があり、用途は限定されている。Si/Siエピタキシャル成長の化学的気相成長法では、水素還元法と熱分解法が主に用いられている。前者では加熱された基板上にSiClなどのハロゲン化シラン(通常塩化物)を供給し、H2よる還元反応により、後者ではSiH4などを供給し熱分解により、基板上へ単結品成長させる。これら反応 の成長温度は用いる原料ガスにより異なるが、H2還元法で1,050~1,250°C、熱分解法で850~1,100°C程度である。比較的高温であるためMBEに比較して深さ方向ドーパント分布制御性は劣る。一方、成長速度を高くすることができ、また超高真空を必要としないため生産性には優れている。そのため、CVDSi/Siエピタキシャル成長技術は、ディスクリートやバイポーラ用ウェハなどデバイスの出発材料の製造技術として使用されている。近年、選択エピタキシャルや低温エピタキシャルなどエピタキシャル技術のデバイスプロセスへの応用も活発に検討されており、今後の発展が期待されている。


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