半導体用語集
原子層エピタキシー
英語表記:Atomic Layer Epitaxy : ALE
結晶成長法の一種で、ある一連の表面プロセスごと当たり、原子層または単位原子層を結晶成長させるエピタキシー法をいう。しばしば略してALEと呼ばれる。原子層エピタキシーの核心をなす考え方は、成長の「自己停止機構(self-limiting mechanism)」であり、結晶成長が原子1層成長した後に、自動的に停止することがその本質である。
原子層エピタキシーは、1970年代の初めにT. Suntolaによってその概念が提案され、当初ZnSなどのII-VI族結晶の成長に応用された。現在は、 III-V族化合物、Si、酸化物結晶などに対しても開発研究、さらには一部でデバイス構造作製技術への応用がなされている。
以下、現在最も研究が進んでいるGaAsの原子層エピタキシーを例にして説明する。GaAsの原子層エピタキシーは、成長手法の点で有機金属気相エピタキシーや分子線エピタキシーなどの成長法とは大きく異なる。後者の成長法では、GaとAsの原料ガスを反応装置に同時に供給してGaAsの成長を行う。これに対して、原子層エピタキシーではGaとAsの原料ガスは、混じらないように交互に反応装置に供給し、おのおのの段階で成長の自己停止機構を働かせGaAsの成長を行う。
原子層エピタキシーの自己停止機構は、材料系や成長法によって様々提案され実現されてきた。GaAsの原子層エピダキシーでは、有機金属系気相成長法と塩化物系気相成長法を中心として技術開発が進められてきた。前者では、トリメチルガリウム((CH3)3Ga)やアルシン(AsH3)が原料ガスとして用いられ、結晶表面原子との化学反応過程に起因する自己停止機構が用いられた。また後者では、成長表面に吸着した比較的安定な塩化ガリウム (GaCl)分子層が自己停止機構の発現に用いられた。
原子層エピタキシーは、原子1層ごとの確実な成長が可能であることから、原子層単位で薄膜を成長可能であり、原子層超格子結晶の作製や薄層に不純物をドーピングする原子層ドーピングなどに応用される。また成長が理想的な層状成長で行われるために、きわめて平坦な表面をえることが可能であり、特徴ある選択成長、大口径基板への超高均一成長などへの応用が可能である。さらに低温成長や高濃度不純物ドービングなどにも、他の成長法にはない優れた特徴を持ち、半導体デバイス作製プロセス工程などへの応用が図られている。
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