半導体用語集
固定電荷密度
英語表記:fixed charge density
固定電荷とは,シリコン基板-酸化膜界面の約3nm以内の領域に存在する酸化膜の構造欠陥に起因する,キャリアとして機能しない正の電荷のことをいう。固定電荷は酸化プロセスに強く依存し,酸素雰囲気中での熱処理(ドライ酸化)により形成した酸化膜における酸化温度と固定電荷の関係は,Dealの三角形と呼ばれる形で表わされる。図1に示すように酸化温度の上昇に伴い固定電荷は減少する。また,不活性ガス中で酸化後の熱処理を行うことでも固定電荷はある一定値まで減少する。再び低温でドライ酸化を行うと固定電荷は増加する。このように酸化温度と固定電荷の関係は可逆的であり,最終の高温熱処理条件によって固定電荷量が決まることになる。なお,水蒸気酸化(ウェット酸化)の場合は酸化温度依存性が小さく,全般に固定電荷量は少ない。また,固定電荷量はシリコン基板の面方位依存性を持っており,(100)<(110)<(111)の順に大きくなる。固定電荷は酸化膜形成時において界面に生じるシリコンの不飽和結合によるものであると考えられている。酸化膜中に電荷が存在すると,印加する電圧の一部が酸化膜中の電荷を補償するために余分に必要となるため,容量-電圧(C-V)特性は電圧軸方向に平行移動する。
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