半導体用語集

ゲート絶縁膜

英語表記:gate dielectrics

MOS型Siデバイスにおいて、ゲート絶縁膜はゲート電極(M)とSi基板(S)との間を電気的に絶縁するための絶縁層(O)として存在し、三者合わせてMOS構造を形成している。ゲート絶縁膜の膜厚はデバイス寸法の縮小に比例して薄膜化しており、4nm程度まで実用化されている。ゲート絶縁膜には、熱酸化法で形成された酸化膜が多く用いられているが、窒化酸化膜も実用的に用いられ始め、それ以外にCVD法で形成される窒化シリコン膜や、Ta205の実用化も検討されている。ゲート絶縁膜に望まれる性質として、(1)膜中に欠陥や不純物が少ない、②絶縁破壊耐圧が高い、(3)界面準位密度が少ない、(4)固定電荷密度が少ない、などがあげられる。またデバイスが動作中にチャネル部で発生したホットエレクトロンが注入されても、その性質を変えないことが要求されている。酸化膜の絶縁破壊のメカニズムは第一原理計算を用いて理論的にも解明されている。カソード側から注入された電子はアノードで電子一正孔対を発生させ、そのうちの正孔は酸化膜中に逆注入され、歪や不純物のある箇所で捕獲され正電荷が発生する。そこへ電子がやってくると正孔と再結合してエネルギーを放出し、そのエネルギーにより新たな正孔捕獲準位を形成する。このようなプロセスの繰り返しにより酸化膜中の欠陥が次第に増加し、それがアノード側からカソード側まで繋がった時に絶縁破壊が生しる。界面準位の正体は酸化膜/Si界面でのダングリングボンド、固定電荷の正体は酸化膜中の酸素欠損であることがわかっており、それらの発生を抑制するために酸化プロセスの精密な制御がなされている。薄膜化の進展とともに、ゲート絶縁膜中の電荷トラップ間を、ホッピング伝導して流れるゲートリーク電流 (stress induced leakage current)の抑制が新たな課題となっている。Si基板と酸化膜との界面付近には、1nm程度の界面遷移層と呼ばれる歪や欠陥を多く含んだ層が存在しており、ゲート絶縁膜の薄膜化とともにデバイス特性に無視できない影響を与えるにいたっている。



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