半導体用語集

大直径化

英語表記:large wafer diameter

1枚のウェハから、より多くのLSIチップを取得するために、ウェハの直径は、3インチ以降おおむね4~5年の間隔で、1インチづつ大きくなってきている。6インチ以降は、2インチずつ口径が拡大されており、2000年以降は、12インチが使われ始める。また、16インチウェハの開発も、国内の主な材料メーカーとデバイスメーカーが共同で行っている。シリコン単結晶の大口径化に際しては、結晶引き上げに使用する材料に配慮が必要である。収率や結晶特性の制御性の面からは、引き上げる単結晶直径のおおむね3倍程度の直径の石英るつぼが適正であり、結晶の大口径化は、部材の大口径化かつ大チャージ量化が必要になる。CZ法では、融液を保持する石英るつぼの周囲および底部を抵抗加熱するため、るつぼの直径が大きくなることは、るつぼ壁の温度が長時間にわたりより高温になる。よって、石英中の気泡や粘性の問題によるるつぼの変形が顕著になる。また、シリコン融液と石英ガラスの反応によるクリストバライトの剥離や不純物の溶出など、石英るつぼ内表面の質や純度にも配慮が必要となる。このため、うち表面の無泡化や低OH化、低アルカリ化るつぼなどが近年使用されている。一方、単結晶引き上げについて、大口径化に際して必ず問題になるのは、無転位結晶を引き上げるための条件出しである。転位発生を防ぐには、固液界面に異物(炉内のごみや石英るつぼからのクリストバライトの剥離など)を付着させないことが、最大のポイントになる。また、スループット確保には、ある程度の引き上げ速度を維持する必要がある。結晶の引き上げ速度を高速化するには、径方向、成長軸方向に適正な温度勾配を確保する必要があり、これは、リングOSFなどの結晶欠陥抑制のためにも、重要なポイントである。ごみ付着防止としての適正なAr流路確保と適正温度分布の確保のために、大口径化が進むにつれて、輻射シールドなども使われるようになってきた。大口径化とともに、デバイスはより微細な高集積なものが作られる。よって、径方向の諸結晶特性については、より厳しい均一性が要求される。特に、ゲッタに重要な役割を果たす酸素濃度の均一化は重要で、るつぼ回転速度や結晶回転速度などを最適化する必要がある。また、重金属の低減のために、ホットゾーンとして大部分の部材を構成している炭素部材の純度、Arの高純度化(配管の清浄度を含む)、引き上げ室の清浄化、ポリシリコンの高純度化などに配慮が必要となる。
 なお、12インチ以上の大口径になると、200~300kg程度の結晶を引き上げるため、ネックの細い部分では、重量を支えることが不可能になる。よって、従来より太いネック径でも無転位化できる技術の開発や、結晶の肩部や直胴部に瘤を作り、これをつかみながら引き上げる技術が開発されている。これらの工夫については、多くのパテントが出されている。


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