半導体用語集

実効インダクタンス

英語表記:effective inductance

 実効インダクタンスとは,電流が形成する電流ループの状態において,目的の部分の自己インダクタンスに対し,外部からの相互インダクタンスの影響を考慮し,その結果を等価的な自己インダクタンスとして扱ったものである。また単純に相互インダクタンスの影響を加えたインダクタンスのことを実効インダクタンスと呼ぶことがある。
 半導体パッケージの同時スイッチングノイズに相当する実効インダクタンスを例として説明する。図1に示すように,信号線にある負荷(キャパシタンス)を充放電するための電流が実効インダクタンスの対象となる電流ループである。デバイスの出力回路が論理lowを出力する場合を考えると,図1に示すようにスイッチング電流は信号線とグランド配線に電流ループを形成する。この場合に,半導体パッケージのグランド配線に発生するスイッチングノイズは,グランド配線の自己インダクタンス(Lg)と,信号線とグランド配線間の相互インダクタンス(Msg)により,式(3)のように表わすことができる(下部画像参照)。

 式(3)にあるLeffが図1の場合のグランド配線のスイッチングノイズに対する実効インダクタンスである。実際のスイッチングノイズの場合には,複数の信号線と複数の電源配線との間に電流ループを形成するため,実効インダクタンスは,半導体パッケージ内配線のインダクタンスマトリックスと対応するスイッチング電流のベクトルから計算できる。
 半導体パッケージのスイッチングノイズをSPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis, UCLAバークレイ校で開発された回路解析用ソフトウェア)などの回路解析ツールで解析する場合には.半導体パッケージ内配線のインダクタンスマトリックスをすべて含めてモデル化する場合があるが.モデルに含まれる要素が多くなる。そのため.実効インダクタンスによりモデル化し,モデル中に含まれる要素数を減少させる方法がある。実効インダクタンスによりモデル化する場合には,実効インダクタンスに相当する電流ループの状態(各配線の電流ベクトル)と,回路解析において流れる電流の状態を同じにしなければならない。


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