半導体用語集
同時スイッチングノイズ
英語表記:simultaneouse switcing noise
半導体デバイスが他のデバイスとデータを送受信するために入出力回路が一斉に動作(switching)する時に,半導体パッケージの電源系配線に流れる電流と,その電源系配線が持つ寄生インダクタンスにより,発生する起電カのことである。また,⊿Iノイズ,グランドバウンス,単にスイッチングノイズなどとも呼ばれる。このノイズ(電源系に発生する電圧変動)により,デバイスが出力している信号の電位が,受信側の半導体デバイスから見て相対的に変化し誤動作を引き起こす問題や,スイッチングノイズ量の増大に従い,信号出力の遷移時間が増加してしまうなどの問題を引き起こす。
同時スイッチングノイズは,主にCMOS回路のような電圧駆動型インタフェースを使用する場合に重要な問題である。電圧駆動型インタフェースは,半導体デバイスの入出力回路に繋がる負荷配線にあるキャパシタンスを充放電することにより論理情報を伝えている。半導体デバイスの高速化によって負荷の充放電電流の変化が急峻になること,半導体パッケージのピン数の増加によってトータル電流量が増加することなどにより,半導体パッケージの電気特I生の中で重要な項目になっている。
同時スイッチングノイズの概念は一般に式(1)(下部画像参照)により表わすことができる。
式(1)のように,同時スイッチングノイズの大きさは,デバイスの同時スイッチング数Nに依存するが,同時スイッチング数依存性係数(p)により,スイッチング数の増加に従いスイッチングノイズ量が飽和していく傾向を持っている。この傾向は,電源系配線の回路自体の出力特性と,スイッチングノイズ増加(電源電圧降下)によるデバイスの駆動率低下(電流変化率の減少)の影響である。このスイッチング数依存性係数はパッケージの構造やデバイスの特性により異なる。
式(1)にある電源系配線のインダクタンスLは,実効インダクタンスと呼ばれ,同時スイッチングノイズのノイズ量に相当するインダクタンスである。
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