半導体用語集

寸法ドリフト

英語表記:pattern size drift

ウェハ上でのビーム寸法が時間とと もに変化することを寸法ドリフトという。
描画時にビームの寸法を変える可変成形ビーム方式の描画装置では、2枚のアパーチャの間に偏向器を入れ、第ーアパーチャ像が第二アパーチャと重なる度合を変えることで、寸法の異なる可変成形ビームがダイナミックに選択できる。しかし、第一アパーチャ像と第二アパーチャとの重なりを変える偏向器の表面がチャージアップで電位変化を起こしたり、アパーチャへの入射電子によるヒーティングで熱膨張したりすると、第一アパーチャ像の第二アパーチャ上での位置が変化することになり、ビーム寸法が変化する。このようなビーム寸法の変化の時定数が描画時間にくらべて短いと、 描画中に寸法が変動する、すなわち寸法ドリフトが発生することになる。この原因はビームドリフトと同様に, 偏向器表面に堆積したコンタミネーション層の帯電であることが解明されており、in-situ洗浄などによって回避できることがわかっている。 成形アパーチャへの電子ビームの入射量変化に伴って発生する熱ドリフトは、不必要な電子がアパーチャに入射しないように、アパーチャより上方に電子ビームの遮断アパーチャを入れたり、成形アパーチャの熱伝達率を大きくすることにより、アパーチャの温度上昇を抑えるなどして実質的に問題のないレベルに達している。
また、CP描画方式、SCALPELなどのマスクパターンを転写するタイプの描画方式には寸法ドリフトのような問題はなく,一般的にVSB描画と比較して,ビームの寸法精度がよいことが報告されている。ただ,成形されたピームの寸法は一定であっても,露光時間,電流量の変化によりビーム寸法が変化し,露光量の換算で1 %程度のドーズ量の変化に対して6nm程度のレジスト寸法が変化することが報告されている。このことから、レジストパターンで寸法ドリフトを評価する場合には、露光時間、電流密度の安定性、均一性などについても考慮しなけれはならない。


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