半導体用語集

層間絶縁膜形成方法と特性

英語表記:ILD deposition and ILD characteristics

層間絶縁膜用シリコン酸化膜の形成にはCVD法と塗布法が用いられる。
機械的強度や吸湿性などの膜質面ではCVD法による酸化膜が優れた特性を示す。塗布法で形成されたシリコン酸化膜(SOG)は、膜質的には劣るものの、その成膜方式から優れた配線間ギャップ埋め込み特性および平滑・平坦性を示す。このため、SOGはCVD 酸化膜の段差被覆性および埋め込み性を向上させるための補助膜的な用途に用いられる場合が多い。
CVD法の場合、LSIの開発初期においては、SiH4-02系での常圧CVD法が用いられていた。常圧CVD法による酸化膜の場合、引っ張り応力を持ち機械的強度が弱いため金属配線上でクラックの発生が起こりやすい。機械的強度を上げるため、酸化膜にはリン (P)を添加したPSG (Phospho Silicate Glass)が用いられた。しかし、SiH4ーN20系のプラズマCVDの実用化以後、より低温で良好な段差被覆性と圧縮応力を持っ機械的強度の高い膜がえられるプラズマCVD酸化膜が一般に用いられている。現在では配線間ギャップ埋め込み性改善および段差被性改善を目的として反応ガス系を S:日4ー02系に換え, TEOS-02系としたプラズマCVDシリコン酸化膜が広く用いられている。またさらなる埋め込み性の向上のため、ECR、ヘリコンおよびICPなどの高密度プラズマ源と基板バイアスを用いた高密度プラズマCVD (HDP CVD : High Den. sity Plasma CVD)も用いられている。HDPの場合は、 SiH4ー02系でのシリコン酸化膜の成膜とアルゴン (Ar)スパッタエッチングが同時進行させることで、埋め込み性および段差被覆性の向上を実現している。HDPを除き、プラズマCVDの段差被覆性は、Al配線の形状にほぼ沿ったコンフォーマル形状である。配線間にボイドを残さず、平滑、平坦な絶縁膜表面をえるためには、配線間を埋め込むための絶縁膜層が別途必要になる。この埋め込み用絶縁膜層として先に述SOGが一般に用いられる。
SOGは有機溶媒中に溶かされたガラス成分を基板上に塗布し、その後の乾燥、べーク、キュアと呼ばれる最高 400数10℃程度の熱処理で焼成することで、ガラス成分を縮合させることで形成される。SOGはポーラスな構造となりやすく吸湿性も高い。金属配線とSOGが直接に接触した場合は、配線腐食や層間酸化膜のクラックなどの問題が発生する。このため、メタル配線をCVD酸化膜で被覆した後、SOG を形成し、平滑、平坦な絶縁膜表面をえた後、さらにその表面をCVD酸化膜で覆う方法が取られる。CVD酸化膜でSOGを挟み込む形になる。また、SOGはエッチバック平坦化プロセス用の犠牲としても用いられる。埋め込み特性の良いCVD酸化膜を厚く堆積し配線間を埋め込んだ後、SOGを形成し表面の平滑、平坦化を行う。さらに表層のSOG膜とCVD 酸化膜を等速でエッチングすることで、SOGの平滑、平坦な表面形状を CVD酸化膜に転写する方法である。この場合も、金属配線の信頼性を確保するため表面にSOGが残らないようにエッチバックを行うことが一般的である。
また、埋め込み性および段差被覆性向上のため、基板状に流動性を持つ反応中間体を形成し、成膜中またはその後の熱処理により酸化膜に転換する CVD法も用いられる。このCVD法を流動性CVDと呼ぶ。流動性CVD で形成される酸化膜は、SOGと同様に理め込み性に優れるが、同時に吸湿性が高く、機械的強度も弱い場合が多い。このため、SOGと同様に単独で用いられる場合はまれであり、プラズマCVD酸化膜との積層膜として用いられる。


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