半導体用語集

放射線損傷

英語表記:radiation damage

放射線が照射された時に引き起こされる固体、液体、気体の特性劣化をいう。損傷の程度は放射線照射の線量ばかりでなく、放射線の種類やエネルギーにも大きく依存する。一般に中性子・各分裂片・線による損傷は、日線・ア線による損傷より大きい。半導体部品の放射線による損傷メカニズムには、バルク損傷、イオン化損傷、シングルイベント現象の三つがある。バルク損傷は、放射線粒子が入射した時に半導体を構成する原子が衝突によってはしきだされ、結品欠陥が生成されたことによる損傷である。欠陥の生成により、少数キャリア寿命、移動度およびキャリア濃度が減少する。宇宙空間で起こる太陽電池セルの劣化メカニズムがこれに当たる。イオン化損傷は、高エネルギー放射線粒子が半導体部品に侵入して、そのはとんどのエネルギーを費やして半導体部品内の原子をイオン化することによって引き起こされる損傷である。金属や半導体ではイオン化された原子に対してすぐに新たな電子が供給されて問題はないが、絶縁体の場合はそのような補給が行われずに、残った正孔が絶縁体中のトラップに捕度されたり界面準位を誘起するという問題が起こる。このためトランジスタのしきい値の変動やLSIの素子間漏れ電流が増大することになる。シングルイベント現象は、α粒子以上の質量を持つ粒子がLSIへ入射した際に、Si基板内で大量の電荷を発生させノイズ電流として働き、回路を誤動作させたり、破壊する損傷である。対象となるデバイスによって、シングルイベント・アッフセット、シングルイベント・ラッチアップ、シングルイベント・バーンアウト、シングルイベント・ゲートラブチャなどが知られている。


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