半導体用語集

集束イオンビーム

英語表記:FIB : Focused Ion Beam

 直径1μm程度あるいはそれ以下に集束したイオンビームであり,電磁的に偏向走査することで,ラザフォード後方散乱(RBS)による組成分析や,イオンビームスパッタリングによる局所加工などに応用されている。RBSでは,イオンエネルギーが数MeVのヘリウムイオンが主として用いられ,ガス放電型のイオン源から引き出したイオンを加速器で所望のエネルギーに加速し,二,三段の電界型あるいは磁界型の四極子レンズにより試料上に集束される。現在イオンビームの直径としては,1μm程度に集束されており,また,電磁的な偏向の替わりに試料自身を機械的に走査することが多い。このような高エネルギー集束イオンビームは,ラザフォード後方散乱分析の他に,LSIでの放射線損傷による誤動作などの解析のために利用されている。一方,微細加工を目的とした集束イオンビーム技術では,イオンの加速エネルギーは10keVから100keV程度が用いられ,電界型のバイポテンシャルレンズやユニポテンシャル(アインツェル)レンズを二,三段程度組み合わせて,イオン源の光源像を試料面上に結像するような光学系が利用されている。イオン源としては,通常のガス放電型のイオン源に比較し,10⁴倍以上の輝度(単位面積から単位立体角当たりに引き出されるイオン電流)を持つ液体金属イオン源を用いる。液体金属イオン源は,電気流体力学的イオン源とも呼ばれ,タングステンなどの先端径1μm程度の金属針を,溶融金属で濡らし,強電界を印加することで液体金属を円錐状に成長させ,その項点から電界蒸発現象により直接溶融金属原子のイオンを引き出すものである。多くの装置では,融点での蒸気圧の低いガリウムがイオン化金属として用いられるが,金-シリコンなどの共晶合金を用いて,蒸気圧の高い材料もイオン化可能である。特に共晶合金を用いた場合は,電場-磁場直交型のE×B質量分離器により,所望のイオンを選別し,集束する必要がある。現在,10nm程度のビーム直径がえられており,試料へのイオン照射により発生する二次電子を検出することで走査イオン顕微鏡像が観察可能であり,試料位置の同定に利用されている。集束イオンビームの微細加工への応用例としては,スパッタエッチングとイオンビーム支援デポジションを使って,フォトマスクの欠陥修正やLSIなどのデバイスの配線欠陥修正,あるいは,LSIの故障箇所のマーキングと指定箇所の断面切削による観察および断面透過電子顕微鏡用の試料作製などに広く利用されている。



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