半導体用語集
イオンビーム支援デポジション
英語表記:ion beam assisted deposition
金属原子や炭素原子を多く含むガス分子を基板に吹きつけながらイオンビーム照射を行う時、基板表面に吸着したガス分子が分解、重合反応を起こし、薄膜を推積することができる。イオンビーム蒸着におけるイオンビームミキシング法と類似しているが、イオン照射されないところには堆積が起きないことが特徴である。したがって、集束イオンビームを使う時には、局所的に膜堆積を行うことができるようになる。堆積過程は,イオンビームスパッタリングとガス分子の分解,重合反応との競合過程であるため、堆積を行うにはある程度以上のガス分子フラックスを供給する必要があるし、また集束イオンビームの走査条件によっても堆積速度は変化する。ただし、イオンビーム支援エッチングの場合と同様に、フラックスを増加させると堆積速度は飽和傾向を示すようになる。イオンビーム支援デポジションの応用としては、リソグラフィ用のフォトマスクの欠陥修正技術が上げられる。フォトマスクは、石英基板上のCrのパターンから構成されるが、Ga集束イオンビームを用いて,黒久陥(Crが余分についている欠陥)はイオンビームスパッタリングで除去し,白欠陥(Crが欠落している欠陥)は、ピレン(C₁₆H₁₀)やスチレン(C₈H₈)などの、ガスを使ったイオンビーム支援デポジションにより修正可能である。LSI回路の配線パターン修正用としては導電性の膜を着ける必要がある。このために、W(CO)₆などの金属カルボニルガスが使われており,比抵抗としては、バルクの値の10倍程度大きな堆積膜がえられる。炭化物系の堆積では、ガスの種類としては化学吸着しやすい不飽和結合を持つような物質が進積収率を向上させる。たとえば、含有炭素原子数のほぼ等しいスチレン(C₈H₈)とトルエン(C₇H₈)について同一のイオンビーム照射条件で比較した場合、ビニル基を含む前者の方が堆積速度が向上する。金属膜堆積ではC、Oが含まれることが多く、これがバルクとくらべて比抵抗の大きな理由となっている。C、Oの取り込みの原因には、入射ガス中の組成の一部の残留とともに、残留ガスからの混入も大きな原因であり、真空度が10⁻⁸Torr 以下では、10%程度以下に抑制される。金属膜の比抵抗をバルク並に近づけるには、基板を加熱しながら堆積することが有効であることが知られている。さらに炭素膜や金属膜以外に、酸素とSi(OCH₃)₄の混合ガスを使用して絶縁材料であるSiO⨯膜の堆積も報告されている。
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