半導体用語集

機能モデル

英語表記:functional model

規模の大きいアナログ回路やアナログ・デジタル混載回路を抽象度の高い記述で機能や動作を表現したモデル。回路設計ではSPICEに代表されるトランジスタや受動素子の寸法や値と接続関係を記述する言語で行われてきた。これに対し,回路より上位の記述を意識したシュミレータにはそれぞれ独特な言語を用意していて,その言語で記述することになる。汎用的にはC語の他,Verilog-AMS,VHDLAMSなどのIEEE標準化が図られつつある言語で記述される。アナログ・デジタル混載回路の検証のために記述したり,規模の大きい機能から部分回路の仕様を決める時に記述して用いられる。また,一度使用した実績のある回路プロックを流用する時の全体検証に用いると検証時間をかなり短縮できる。 規模の大きいアナログ回路やアナログ・デジタル混載回路を含むLSIを,トランジスタで記述した回路を用いて検証しようとすると非常に時間がかかる。特に求められているシステムを具体化する方式や回路が一意に決定していなくていろいろな選択肢から選びたい時に,検証時間がかかることは不都合である。そこで,仮に候補となるハードウェアの動作を記述したモデルと,他の部分を組み合わせてシミュレーションを行うことにより検証すれば検証時間を大幅に短縮することができる。もし,その候補となるハードウェアがすでに他の用途で検証がすんでいれば,そのまま流用できるこどになる。ただし,抽象度が高いということは,詳細な特性の多くは省略された表現であるので,検証漏れを生じる危険性は残る。そのため,機能モデルには単にシグナルフローだけを記述した レベルからトランジスタの接続関係を詳細に記述したモデルまでいろいろ存在しうる。少なくともシグナルフローレベル,Verilogのレジスタトランスファレベルに相当するモデル,SPICEレベルの詳細記述の3通りは必要となる。 機能モデルの記述の中に部分仕様で不確かな要素をパラメータとして記述し,このパラメータを変化させてシミュレーションを行って結果をみることで,そのバラメータの最適値を決めることができるたとえば,D/A変換器に,演算増幅器を用いたフィルタを接続する時,演算増幅器の位相余裕やスルーレートの最適値はわからないし,要求仕様にも記載されないのが普通である。これらをパラメータにしてフィルタ回路の接続を記述し,機能モデル化されたD/A変換器と接続してシュミレーションを行い,歪などの変化を 評価することでパラメータの最適値を探すことができる。これらで決まるパラメータを満たす回路設計に進むことができる。機能モデルにはこのような使い方もある。


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