半導体用語集
添加不純物の偏析現象
英語表記:segregative phenomena of impurity doping
融液中に添加した不純物は、結晶化する際に一定の割合で取り込まれる。その割合は、不純物ごとに固有の値を有する。融液中の不純物濃度をCL、結晶中の不純物濃度をCsとすると、K=Cs/CLなる関係があり、単結晶中に取り込まれる一定の割合Kを偏析係数という。実際の結晶成長では、ある速度で結晶を回転させながら、引き上げるため、これらのファクタが厳密には関係してくる。特に、引き上げ速度が限りなく0に近い場合を平衡偏析係数と呼び、K0と区別する。シリコン半導体結晶で使用される代表的な不純物の平衡偏析係数は、ホウ素で0.8、リンで0.35、ヒ素で0.3、アンチモンで0.023であり、値が大きいほど結晶中に取り込まれやすく、すなわち、平衡偏析係数が大きくなる。実際の結晶成長の際には、この偏析現象が常に生じている。すなわち、固液界面近傍の融液中では、結晶に取り込まれなかった不純物が高濃度層(拡散境界層)を形成し、融液中の不純物との出入りを繰り返すことで、固化率の上昇とともに上昇する。融液中の初期不純物濃度(固化率0)をC0、固化率をGとすると、結晶中の不純物濃度Csは、以下の式によって決まる。
CS=K0C0(1-G)K-1
なお、結晶回転および引き上げ速度の影響を考慮した場合の偏析係数は、有効偏析係数は有効偏析係数Keffと呼び、BPS理論で説明されている。まず、結晶回転速度ωは、以下の とおり固液界面直下の拡散境界層の厚さδを決定する。
δ=1.6D 1/3 ν1/6 ω-1/2
ここで、D は融液中の不純物の拡散係数、νは融液の動粘性係数である。さらに、引き上げ速度V を考慮すると、有効偏析係数
Keff は以下のとおりになる。
Keff=K0/[K0 +(1-K0)exp(-Vδ/D)]
よって、実際の結晶成長においてはV やωの変動が、結晶中に取り込まれるドーパント濃度の変化として現れることになる。
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