半導体用語集

CZ結晶

英語表記:CZ crystal

シリコン単結晶の製造方法には大きく分けてCZ法とFZ法があるが、CZ法はFZ法より大口径の結晶が容易に製造できること、および石英るつぼから溶出した酸素が単結晶中に取り込まれ、これが汚染のゲッタサイトとして有益に作用する。FZ法よりも生産量は多い。CZ法によって引き上げたシリコン単結晶中には、石英るつぼとシリコン融液の反応により、1~2×1018atoms/㎤(old ASTM)程度の酸素が含まれている。約1420℃で固化する際に単結晶中に取り込まれた酸素は、素子形成過程で過飽和濃度分が析出物を形成する。この酸素析出物は、素子形成過程に不純物のゲッタ源として有益な作用をもたらすが、表面および表層の素子形成領域に発生した場合は、素子不良の原因となる。よって、ゲッタの必要性に応じた、適正な酸素濃度制御が重要であると同時に、表面および表層部に顕在化させないための工夫(たとえば、素子形成の前に高温熱処理を施し、表層部の酸素を外方拡散させるなど)が必要な場合もある。また、ウェハ表面の酸化によって発生するOSF(Oxidation induced Stacking Faults)と呼ばれる積層欠陥も、CZ結晶に発生する代表的な結晶欠陥である。これは、機械的歪や重金属などの不純物が原因となる場合と、リングOSFと呼ばれる点欠陥(格子間シリコン)が原因の場合がある。後者については、成長軸方向および直径方向の温度勾配に支配されており、たとえば、リング状に発生するOSFの位置(リングの直径)と、結晶の引き上げ速度に相関があり、低速引き上げ結晶では、直径が小さく、高速引き上げ結晶では直径が大きくなる。また、素子の微細化の進行とともに、最近では、COP(Crystal
Originated Particle)と呼ばれるSC-1(アンモニア水+過酸化水素水+水)液で、0.1~0.2μm程度のサイズに顕在化するボイド状の結晶欠陥が問題となってきている。このCOPは、リングOSFの内側の領域に発生し、結晶引き上げ速度を低速化することにより、密度は低くなる。逆に高速化すると密度は高くなるが、サイズは小さくなる。COPの低減については、結晶の温度勾配および引き上げ速度の制御など、結晶成長過程での工夫や、高温熱処理などのアニールによる消滅が行われている。また、CZ結晶の特徴として、添加不純物の偏析現象がある。これは、融液中に添加した不純物が、固化した単結晶中に取り込まれる際には、一定の割合しか取り込まれず、その割合(偏析係数と呼ぶ)は、不純物ごとに異なる値を有するという現象である。通常のシリコン単結晶に添加される不純物は偏析係数が1より小さいので、固化の進行に伴い、融液中に残る不純物濃度が上昇し、単結晶の長さ方向で濃度差が発生する。


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