半導体用語集
界面散乱
英語表記:interface roughness scattering
MOSFET反転層のキャリアの散乱機構に関しては、1960年代から多くの研究が報告されている。界面散乱はその典型的な機構である。1970年代に入って、反転層の二次元電子系としての理解が急速に進むようになってから、二次元電子を基にした界面散乱が議論されるようになってきた。しかしながら、界面散乱に対する微視的散乱機構に関しては現在になってもあまり明確にはなっていない。これは界面ラフネスの形状(⊿,Λ)を実験的に正確に決定するのが難しいことによっている。ここで⊿はラフネスの高さ、∧はラフネスの位置に関する相関長である。現在の最も進んだモンテ・カルロ計算においても、界面ラフネスを正しく取り組むことは難しい。初期に考えられた界面散乱は分散散乱(diffuse scattering)と呼ばれ、界面に衝突した電子は界面に垂直の速度成分に関してはすべての記憶を忘れて熱平衡状態に戻るというモデルである(Schrieffer)。このような完全にランダムな散乱が起こったらモビリティは当然下がる。その後、界面ラフネス散乱を界面ラフネスの形状(⊿,Λ)を使って、ポテンシャル散乱としてボルン近似の範囲で計算が行われた。この考え方は現在でも広く受け入れられており、MOS界面に限らず界面ラフネス散乱を取り扱う時の標準的な手法になっている。結果の特徴は、垂直電界の2乗に比例してモビリティは減少するという点であり、これは実験結果をうまく再現している。意図的に表面を荒らしたシリコンを熱酸化してモビリティを評価した場合と、通常の前処理をした場合のモビリティをくらべてどういう違いが現われるかという部分に注目して行われた実験的報告がある。
ここからえられた結果は、理論から予測されるように、垂直電界が高い時にモビリティの差が顕著になり、電界が低い時には他の散乱機構(フォノン散乱、クーロン散乱)が主要な散乱機構になっているという点である。微細化の指針である比例縮小則とともにシリコン側基板濃度が高くなる結果として、反転層が形成される時の界面垂直電界は微細化とともに高くなり、界面散乱は極微細MOSFETでは主要なモビリティ決定機構になる。その意味では界面の凹凸にさらに気をつけなくてはならない。文献で時折誤解がみつけられるものに、モビリティを評価して値が減少していると、界面の凹凸に原因をおしつけてしまうものがあるが、反転層モビリティは、印加されている垂直電界によって主要な散乱機構が変化している点に注意して議論を進めなくてはならない。
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