半導体用語集

発光分析

英語表記:optical emission spectroscopy

原子や分子の電子衝突などによって励起された電子励起準位にある粒子か ら放出される可視から真空紫外領域のスペクトルを、分光器によって観測する分光測定手段を発光分析と呼ぶ。プラズマの計測においては、反応容器の窓を通して測定された発光の波長からプラズマ中に存在する発光粒子(原子、イオンなど)の種類やプラズマ特性などを知ることができる。実際の測定は、原子やイオンの既知のスペクトル線の波長と比較することにより波長を求め,発光粒子の種類を決定する。波長の測定には、目的に応して適当な分光器を使用すれはいいが、紫外領域の発光ではプラズマ反応容器の窓材料として、紫外光に対して透過率の大きい石英を使用することが必要である。真空紫外領域の発光分光においては, 分光器内を真空にするとともに,真空紫外発光を透過する窓材料(たとえば, MgF2)を選択する。また、波長によっては適当な透過率の窓がないために、プラズマ反応容器と分光器とを差動排ただし、気することが必要である。
発光励起種が基底状態の粒子の電子衝突励起で生成される場合,単位体積・単位時間当たりの励起種の生成数Rは、R=Kneで表わされる。この時、neは電子密度、Nは、基底状態粒子の密度、kは励起速度定数(電子温度)である。通常の低圧プラズマプロセスにおいては、励起種の密度は、生成数Rと、放射による脱励起とのバランスで決定される(コロナ平衡)。ここで、励起準位の放射寿命をτとすると、励起種の密度は、Rτで表される。したがって、観測される発行強度Iは、I=ηhvAijτRとなる。ただし、Aijは観測している遷移のA係数、hvはその遷移によって放出される光子のエネルギー、ηは観測系によって決まる定数である。したがって、発行強度Iは、KneNに比例しているので、基底状態の粒子密度Nと励起速度定数kが一定と考えられる場合では、電子密度neを測定することができる。同一粒子において、二つの遷移1、2の発光線の発光励起のしきい値エネルギーをE1、E2とする。kBはボルツマン定数、Teは電子温度とすると、E1、E2≫kBTeの場合、二つの発光強度の比(I1/I2)を計測することにより、I1/I2(∝k1/k2)によって電子温度を測定することができる。発行分析は、測定が簡便であり、プラズマプロセスの計測に広く用いられている。


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