半導体用語集

短周期超格子

英語表記:short period superlattice

 十分に短い周期で半導体超格子を積層した構造は、実効的に超格子の寸法で決まる平均組成の混晶とほぼ等しい働きをする。このように混晶の替わりに用いる超格子を短周期超格子という。超格子の各層の厚みは用途により異なるが、おおよそ数原子層から3nm程度である。たとえば、AlAs(1nm)/GaAs(1.5nm)の短周期超格子はAl₀.₄Ga₀.₆As混晶にほぼ同じ働きをする。混晶の替わりに短周期超格子を用いると界面が多くなる問題はあるが、たとえばAlAs/GaAs短周期超格子を例にとって説明すると、次のような長所がある。(1)AlGaAs混晶を厚く成長すると、不純物の偏析や表面のラフネスが大きくなり結晶の品質が低下するが、混晶をAlAs/GaAs短周期超格子に置き換えると、GaAs層を成長している間にこれらが改善され高品質の層構造がえられる。(2)AlGaAs混晶にSiドナをドープするとDXセンター(「DXセンター」の項参照)と呼ばれる深い準位が形成されるが、混晶の替わりにAlAs/GaAs短周期超格子を用いGaAs層にのみSiドープすると、DXセンターの影響を低減することができる。(3)AlGaAs混晶でAl組成をMBE成長中に厚さ方向に変化させようとすると、Al、Gaのセル温度を組成変化に対応させて変える必要があるが、制御が困難であり特に速い応答は不可能である。しかし、短周期超格子を用いれば、セル温度は一定のままで周期構造中の層厚を変えるだけで、実効的に任意の組成分布を形成することが可能である。

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